3歳馬たちが最後の一冠を賭けて戦い合った秋華賞そして菊花賞は、共に一番人気が敗れるやや波乱の結果に。これから先は、同世代ではなく古馬たちに挑むこととなり、より一層競馬が面白くなる時期でもあります。
そして早くも、3歳馬VS古馬の注目レースが迫ってきました。秋のミドルディスタンス王決定戦、天皇賞・秋(G1、2000㍍・芝)が、東京競馬場で開催されます。
かつては「3歳馬は王道の菊花賞」「古馬は中距離王決定戦の天皇賞・秋へ」というのが一般的なローテーションでしたが、近代競馬がどんどんとスピード競馬へと寄っていくにつれて、3歳馬であっても菊花賞を使わずに天皇賞・秋へ挑む馬たちが続々と増えてきました。
【天皇賞秋2019枠順】
1-1 カデナ(牡5、藤岡佑介・中竹和也)
1-2 アーモンドアイ(牝4、C.ルメール・国枝栄)
2-3 ケイアイノーテック(牡4、幸英明・平田修)
2-4 スワーヴリチャード(牡5、横山典弘・庄野靖志)
3-5 アエロリット(牝5、戸崎圭太・菊沢隆徳)
3-6 ユーキャンスマイル(牡4、岩田康誠・友道康夫)
4-7 スティッフェリオ(牡5、丸山元気・音無秀孝)
4-8 マカヒキ(牡6、武豊・友道康夫)
5-9 ダノンプレミアム(牡4、川田将雅・中内田充正)
5-10 サートゥルナーリア(牡3、C.スミヨン・角居勝彦)
6-11 ゴーフォザサミット(牡4、北村宏司・藤沢和雄)
6-12 ドレッドノータス(セ6、坂井瑠星・矢作芳人)
7-13 ランフォザローゼス(牡3、M.デムーロ・藤沢和雄)
7-14 ワグネリアン(牡4、福永祐一・友道康夫)
8-15 ウインブライト(牡5、松岡正海・畠山吉宏)
8-16 アルアイン(牡5、北村友一・池江泰寿)
※25日午前10時更新
斤量的にも3歳馬たちに分があるその一方で、直近、3歳馬にして勝利した馬は2002年のシンボリクリスエスまでさかのぼることとなり、その前は1996年のバブルガムフェローと、やはり古馬一線級と戦うことは並大抵ではないことを感じさせます。
ですが今年は「近年まれにみる超期待の3歳馬」が参戦予定。そして迎え撃つ古馬も「史上最高レベルの1頭」と呼ばれるあの馬が登場します。世界的にも大注目の1戦に果たしてブックメーカー「bet365」はどんなオッズを付したのか。まずはそちらをご確認いただいてから、出走各馬のご紹介に移ります。
【天皇賞2019オッズ】
※オッズは23日午後4時現在
<天皇賞秋2019最新オッズ情報>
オッズ上はやはり大注目の2頭が抜きんでています。
1.80倍と、1倍台のオッズを付されたのは現在の日本競馬界で知らない人はいないであろうご存知、女王アーモンドアイ(Almond Eye)。
未勝利戦から7連勝で牝馬三冠、ジャパンカップ(G1、2400㍍・芝)そしてドバイターフ(海外G1、1800㍍・芝)を完勝した圧倒的強さは、今も記憶に新しいところです。しかしそれ以上にショッキングだったのは前走の安田記念(G1、1600㍍・芝)。わずかな差ではありましたが届かずの3着の結果は、当時衝撃的なファンも多かったのではないでしょうか。
ただし、勝ったインディチャンプが4~5番手、2着のアエロリットがハナを切っていたのに対し、アーモンドアイはかなりの不利を受けながらも10番手付近から正に「飛んできた」という競馬。強さは存分に見せつけていたとみてよいでしょう。
今回は直行ローテで約半年ぶりの実戦となるアーモンドアイですが、この「ぶっつけ本番」は、オークス→秋華賞で結果を出しているだけに問題とはならないでしょう。陣営も「馬体もちょうどいい感じ」と、合格点。今一度、女王がその強さをまざまざと見せつける結果となるのでしょうか。
そんなアーモンドアイに挑むのは今や3歳馬全体の総大将的存在と言えるサートゥルナーリア(Saturnalia)。オッズは3.00倍。堂々の2番手評価です。
兄にはG1を2勝したエピファネイアや、朝日杯フューチュリティステークス(2歳G1、1600㍍・芝)を制したリオンディーズなど、そうそうたる血統のサートゥルナーリアでしたが、デビュー前からその素質は兄たち以上と目され「ダービー馬候補の筆頭」として大きな注目を集めていました。
その期待に応えるかのように、ホープフルステークス(2歳G1、2000㍍・芝)そして皐月賞(G1、2000㍍・芝)を含む4連勝。「目標は凱旋門賞」とまで言われ、もはやダービーも決まったかのように思われていましたが、まさかの「完敗」ともいえるまでの敗戦。この結果、凱旋門賞挑戦のプランも白紙となりました。
しかし、ひと夏超えたサートゥルナーリアは格段に成長して帰ってきます。前走の神戸新聞杯(G2、2400㍍・芝)では、前目に付けるとそのまま突き放しての完勝。上りタイムは後方からレースを進め、のちの菊花賞馬となるワールドプレミアと同じ最速をマーク。
やはり「モノが違う」というところを見せつける1戦となりました。今回、アーモンドアイという高い壁は存在しますが、それを軽く乗り越えても何ら不思議はないだけの魅力を持っています。
ひとつ、問題だったのがアーモンドアイと同じくC.ルメール騎手が主戦騎手であったということ、当のルメール騎手はアーモンドアイに騎乗することとなったため、今回はC.スミヨンが手綱を取ることに。
C.スミヨン騎手といえば、サートゥルナーリアの兄であるエピファネイアに騎乗し、ジャパンカップで勝利に導いたこともある、縁の深いジョッキー。兄弟馬をともにG1勝利へエスコートできるでしょうか。
上記の2頭からは離された8.00倍のオッズではありますが、こちらも注目なのがDanon Premium(ダノンプレミアム)。
サートゥルナーリアが今年のクラシック路線の主役であったなら、ダノンプレミアムは昨年のクラシック路線における主役だったと言えるでしょう。しかしこちらは4戦4勝でむかえるはずだった皐月賞をアクシデントで回避、日本ダービーも能力を発揮できずに5着と敗れましたが、古馬になってからも強い競馬で重賞を2連勝。
迎えた安田記念では「打倒アーモンドアイ筆頭」ともいえる存在でしたが、スタート直後に他馬に寄られる不利もありまさかの最下位。強さの中に脆さも露呈する結果となってしまいました。
この精神面の部分さえクリアできれば素質は上位2頭に追随できるだけの存在である1頭だけに、枠順やゲートが重要な1頭と言えるかもしれません。
展開ひとつな面はありますが、17.00倍のアエロリット(Aerolithe)もなかなかに面白い1頭ではないでしょうか。
前走、逃げて結果を出したスティッフェリオはいますが、やはり逃げ馬で注目したいのはアエロリットでしょう。ただし、東京コースは得意としているものの、焦点となるのはやはり距離。1800mを超えると極端に戦績が悪くなる点は見過ごせませんが、マイル馬も好走するケースが多い天皇賞であれば、マイペースにもちこんでワンチャンス……そんな場面があっても、おかしくはありません。
その他、昨年の日本ダービー馬ワグネリアン(Wagnerian)が10.00倍。昨年の天皇賞秋でダントツ1番人気ながら期待に応えられなかった雪辱を誓うスワーヴリチャード(Suave Richard)や、今年の大阪杯(G1、2000㍍・芝)を制したアルアイン(Al Ain)らが17.00倍で続きます。
やはり注目はアーモンドアイVSサートゥルナーリアに集まりますが、出走馬を見渡してもここ最近ではかなりの豪華メンバーが集まった一戦と言えるでしょう。
新旧の実力馬が対決となる天皇賞・秋は、10月27日日曜日15時40分発走予定です。