【ウィリアムヒル】グランツール初戦「ジロ・デ・イタリア2019」:総合優勝争いは、デュムラン、ログリッチ、イェーツの三つ巴か?

2017年大会を制したトム・デュムラン

イタリアの険しい山岳を駆け抜けるグランツールの1つ、ジロ・デ・イタリアの開催が今年も近づいてきました。

2019年のジロ・デ・イタリアは5月11日にスタートし、6月2日にゴールを迎える日程となっています。

ウィリアムヒル1934年に設立され、スポーツのみならず政治関係のオッズにも対応、日本向けにも特別オプションが準備されるなど幅広いオッズが用意されているイギリスの老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。

2019年のジロは例年以上に過酷な山岳レースとなる

アレーナ(ヴェネト州ヴェローナ)

102回目を数える2019年のジロ・デ・イタリア。そのスタート地点はヨーロッパ最古の大学を持つ歴史あるイタリア北部の都市、ボローニャとなりました。市外の小高い丘に位置するサンルーカ聖母教会に向かう個人タイムトライアルは、最後の2.1kmが平均勾配9.7%、最大勾配16%、高低差204メートルと早速の山頂フィニッシュとなっています。

その後イタリア半島の西側をティレニア海沿いに南下。第7ステージからは北に向かい、10年前の2009年に300人以上の死者を出した大地震の発生地、ラクイラへ向かいます。

ここから北のアルプスまでの道のりは比較的平坦とはいえ、小高い丘が連なる地域が続くためスプリンターにとってはここでも苦しい展開になるかもしれません。

そして北西部のピエモンテ州を走る第12ステージからはいよいよアルプスに突入。残り9ステージのうち5ステージが山頂フィニッシュという厳しい山岳戦が待ち受けます。

特に特に最後の山岳コースとなる第20ステージは登坂距離20㎞以上の峠がいくつも続き、獲得標高差は約5,000メートル。過酷というほかない難関が襲い掛かります。

そんな最後の砦を乗り越えると、最終ステージでは「ロミオとジュリエット」の舞台としても知られる風光明媚な街ヴェローナを走る個人タイムトライアルを迎えます。緩やかな上り坂を越え、市内を走り抜けて2019年のゴールの地、古代ローマから残る円形闘技場(アレーナ)に到着です。

2019年大会はもともと山岳コースの多いジロにおいても類を見ないほど過酷な山岳レースとなっています。

2018年はフルームがグランツール3連覇を達成!英国初のジロ王者の称号も手にする

クリス・フルーム(昨年度優勝セレモニー)

イスラエルに位置するキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の係争地である聖地エルサレムで開幕することで大きな話題となった2018年のジロ。グランツールとしてヨーロッパ圏外での初めてのスタートということに加え、移動や治安の問題もあり、不安を抱えた始まりとなりました。

幸い大きな問題は起こらず、首都ローマで最終日を迎えた2018年大会を制したのはイギリスのクリス・フルーム。2010年以来3度目の参加にしてついにジロ制覇を成し遂げるとともに、2017年のツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャに続いて見事グランツール3連覇を達成。エディ・メルクス、ベルナール・イノーという伝説的なライダー以来3人目となる全グランツール連続優勝達成者となりました。

一度はトップ集団から引き離され、前年で引退していたアルベルト・コンタドールがフルームの優勝はなくなったと断言するほどまでに順位を落としましたが、第14ステージで区間優勝を果たすと第19ステージも80㎞も独走して優勝し、総合1位を奪取。そのままイギリス人として初のジロ優勝を勝ち取っています。

ログリッチが優勝オッズトップに!2017年王者デュムラン、イェーツらが続く

【ジロ・デ・イタリア2019優勝オッズ】
ジロ・デ・イタリア2019優勝オッズ※オッズは6日午前9時現在
ウィリアムヒル 登録方法

ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」による2019年のジロ・デ・イタリア優勝候補筆頭は2018年ツール区間優勝のプリモシュ・ログリッチ(チーム・ユンボ・ヴィスマ)オッズは3.00倍となりました。

2番手は2017年に大会を制しているトム・デュムラン(チーム・サンウェブ)で3.25倍、2018年ブエルタ王者のサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)で3.50倍の僅差で続いています。

4番手は2013年と2016年にジロを2度制覇しているヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)で8.00倍となっています。

プリモシュ・ログリッチ

昨年2度のグランツール2位となったデュムラン、今年こそ王座奪還を目指す

トム・デュムラン(チーム・サンウェブ)

タイムトライアルスペシャリストでありながらも山岳にも強く、ジロを含め多くの山岳コースで実績を残しているトム・デュムラン。

2017年にはジロを制して初のグランツール王者に輝くと、世界選手権の個人タイムトライアルも制覇。2018年には世界選手権個人タイムトライアル2連覇に加えて、ジロとツールでそれぞれ総合2位となるなど、クリス・フルームに次いで安定した好成績を出している選手といっても過言ではないでしょう。

フルームがツールに集中するためにジロ欠場を決めたことで、優勝候補の大本命となったデュムランは、2度目のジロ制覇に向けて視界良好とみていいはずです。

グランツール連覇へ、イェーツは昨年ジロで味わった屈辱を晴らしたい

サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)

サイモン・イェーツは昨年のジロでは3度の区間優勝を記録。第6ステージから総合首位の座を13日間守り続けたものの第19ステージでまさかの大失速。優勝したフルームと1時間15分遅れの総合21位にまで落ち込んでしまいました。

2019年大会はその雪辱の場となるでしょう。実力でいえば十分に総合優勝を果たせるものを持っていることは昨年のジロでも、ジロでの屈辱をバネに総合優勝を果たしたブエルタでも証明済みです。

昨年イギリス人として初めてジロを制したフルームに続いてジロを制覇し、さらに昨年フルームが達成した全グランツール連続制覇への挑戦権を獲得することができるでしょうか。

コロンビアの超新星ベルナルがジロの山岳を席巻するか

エガン・ベルナル(チーム・スカイ)

故郷コロンビアでは「未来のキンタナ」と呼ばれ、所属チームのチーム・スカイとは異例の5年契約を結び、フルームやゲラント・トーマスに代わる次代のエースとして大きな期待を受けているエガン・ベルナル。

3月にはフランスで開催されたUCIワールドツアー「パリ〜ニース」でキンタナを抑えて総合優勝。今年のジロではチーム・スカイのエースとして参戦予定となっています。

弱冠22歳とは思えない落ち着いた走りを披露し、偉大なライダーとしての道を歩み始めているベルナルがグランツール初優勝を今年のジロで遂げる可能性は決して低くないでしょう。ナイロ・キンタナや“山岳王”ルイス・エレラといった母国の英雄たちを超える日も決して遠くはないはずです。

記事執筆時は優勝オッズで4番手に評価されていたベルナルですが、残念ながら4日のトレーニング中に落車し、鎖骨を骨折したためにジロ出場を回避することになりました。