日本ダービー終了後、この日を楽しみに待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。レースレベルも、そして栄誉も、世界最高峰のクラシックディスタンスレース。ロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞(海外G1、2400㍍・芝)が、目前にまで迫ってきました。
今年は日本から3頭が参戦。更に騎乗予定のブルームが回避したことによって不参戦の予定となっていた武豊騎手が、直前になってフランスの3歳馬ソフトライト(Soft Light)に騎乗が決定。オッズ的には101.00倍とかなりの低評価ですが、こちらも非常に楽しみです。
そして日本馬の参戦以外にも見どころの多い一戦になることは、戦前から競馬ファンなら誰しもが思い描いていることでしょう。
今回は参戦予定の日本馬を中心に、ライバルとなる海外有力馬の情報も交えてお伝えしていきます。まずは老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【凱旋門賞2019オッズ】
※オッズは2日午前8時現在
<ウィリアムヒル 登録方法>
【凱旋門賞2019枠順】
1.12 ソットサス(牡3、仏・JC.ルジェ厩舎、C.デムーロ、56.5kg)
2.06 フィエールマン(牡4、美浦・手塚貴久厩舎、C.ルメール、59.5kg)
3.02 ヴァルトガイスト(牡5、仏・A.ファーブル厩舎、P.ブドー、59.5kg)
4.05 ブラストワンピース(牡4、美浦・大竹正博厩舎、川田将雅、59.5kg)
5.01 フレンチキング(牡4、仏・H.パンタル厩舎、O.ペリエ、59.5kg)
6.11 ソフトライト(牡3、仏・JC.ルジェ厩舎、武豊、56.5kg)
7.04 キセキ(牡5、栗東・角居勝彦厩舎、C.スミヨン、59.5kg)
8.09 マジカル(牝4、愛・A.オブライエン厩舎、D.オブライエン、58kg)
9.08 エネイブル(牝5、英・J.ゴスデン厩舎、L.デットーリ、58kg)
10.10 ジャパン(牡3、愛・A.オブライエン厩舎、R.ムーア、56.5kg)
11.07 ナガノゴ-ルド(牡5、チェコ・V.ルカ厩舎、M.バルザローナ、59.5kg)
12.03 ガイヤース(牡4、英・C.アップルビー厩舎、W.ビュイック、59.5kg)
※枠順は左からゲート番、馬番。3日午後8時更新。
今年の凱旋門賞において、というよりも、この馬が出走するのであればまずご紹介しない訳にはいかないでしょう。凱旋門賞2連覇中の名実ともに世界女王であるエネイブル(Enable)。オッズは1.73倍となっています。
現在12連勝中。G1レースはその内10勝と、文句の付け所が見当たらないエネイブル。前走のヨークシャーオークス(海外G1、2400㍍・芝)においても、もっかのライバルであったMagical(マジカル)を2馬身以上突き放す完勝劇をみせ、順調さアピールしました。
年齢的にもレースぶりに円熟味が増してきた印象のあるエネイブル。鞍上は、今年日本へ短期免許取得による騎乗を予定している世界的名手、L.デットーリ。
彼をもってしても、昨年の凱旋門賞前には「一生に一度の馬」とこれだけの騎手が認めた一頭。もちろん優勝最有力候補でしょう。
そんなエネイブルに挑む海外勢の注目馬たち。
キーワードは「3歳馬」です。
その中でも特に注目されているのが、今年のイギリスダービー3着馬にして、現在3連勝中のジャパン(Japan)。オッズは7.00倍となっています。
斤量差があったとはいえ、前走、イギリスインターナショナルステークス(海外G1、2050㍍・芝)では中長距離トップクラスの実力を持つクリスタルオーシャンに勝利。正にいま伸び盛りの一頭です。
フランスダービー、そして前哨戦のひとつであるニエル賞(海外G2、2400㍍・芝)を制して挑むのは地元の雄、ソットサス(Sottsass)。
フランスダービーでは5連勝中であったペルシアンキングを見事撃破。他のダービーと違い、2100mで行われていることから、距離的な不安もありましたが、その後にニエル賞を制したことにより、2400mそしてロンシャン競馬場への適性の高さを改めて見せる結果となりました。トレヴ以来、5年ぶりのフランス調教馬制覇を狙います。
また、今年のイギリスダービー馬であるアンソニーヴァンダイク(Anthony Van Dyck)も出走予定。ダービー制覇後はやや精彩を欠きつつも、前走のイギリスインターナショナルステークスでは3着と復活の兆しを見せました。
34.00倍と、穴評価ではありますが、実力通りに走れば3歳勢の中でもトップクラスであることは言うまでもありません。
その他、前走のバーデン大賞(海外G1、2400㍍・芝)を制し、初G1制覇。7戦5勝と堅実な戦績を残すガイヤース(Ghaiyyath)が12.00倍。前走こそ引き離されたものの、これまでエネイブルに肉薄するレースを幾度となく演じてきたマジカル(Magical)が13.00倍のオッズとなっています。
そしてここからは日本馬たちのご紹介とまいりましょう。
オッズ上で「日本の総大将格」と言える評価を得たのは、国内長距離G1レース2勝の実績を誇るフィエールマン(Fierement)。21.00倍は全体で5番目のオッズです。
フィエールマンの武器といえばディープインパクト産駒にとって「鬼門」と言われていた菊花賞、そして天皇賞・春の両長距離G1こなせるだけの豊富なスタミナと、途中から徐々にポジションを上げながらも、最後にスパっと脚を使える切れ味抜群の末脚。
理想はやはり、天皇賞春のようにジワリとポジションを上げて脚を使い切って勝利する戦法でしょうか。
フィエールマンと同じ国内前哨戦札幌記念(G2、2000㍍・芝)をローテーションし、見事に勝利して凱旋門賞に挑むのが昨年の有馬記念馬、ブラストワンピース(Blast Onepiece)。オッズは41.00倍となっています。
今年に入ってからは精彩を欠いていたブラストワンピースでしたが、デビューから手綱を握り続けてきた池添謙一騎手から、前走は川田将雅騎手へと騎乗変更。これが功を奏したのか強い競馬で久々の重賞勝利と相成りました。今回も、コンビを組むのは川田将雅騎手。
この後ご紹介するキセキの主戦騎手でもありながら、今回はブラストワンピースへ騎乗することに。その胸中には様々な思いがありそうですが、果たして。
他の日本馬よりも一足先に現地入りをしているキセキ(Kiseki)。オッズは67.00倍となっています。
G1勝利こそひとつにとどまっているものの、昨年の秋から今年の春先にかけてまで、G1レース2着3回、3着1回と、馬場や距離を問わず安定して結果を残し続けてきたキセキ。「凱旋門賞制覇」に向け、早くから現地入りし、前走はフォワ賞(海外G2、2400㍍・芝)に挑むも、4頭中3着とやや微妙な結果となりました。
そこはフォワ賞から手綱を取り続けるC.スミヨン、そして海外G1制覇の経験豊富な角居調教師の腕の見せ所。
修正力に期待したいところです。
やはり、基本的には「エネイブル最有力」の見方は変わらない今年の凱旋門賞。
しかし3歳勢や日本馬にも楽しみな馬が多いのも事実でしょう。
レースは、10月6日日曜日、日本時間23時05分発走予定です。