今年の競馬開催がスタートし、早1ヶ月。このレースを楽しみに待っていたファンも多いのではないでしょうか。JRAにおいて1年で最初に開催されるG1競走、東京競馬場にて開かれるフェブラリーステークス(G1、ダート・1600㍍)間近に迫ってきました。
12月に行われるチャンピオンズカップ(G1、1800㍍・ダート)や、大井競馬場で開催される東京大賞典(地方G1、2000㍍・ダート)などと合わせ、日本最強ダート王決定戦を決める側面や、ここから3月末のドバイワールドカップなどに向けてのステップアップとなる1戦ではありましたが、今年からはまたひとつ様相が変化します。その理由が賞金総額21億円超えのビッグレース「サウジカップ」が開催されるという点です。
このレースに参戦するのが、昨年のチャンピオンズカップの覇者であるクリソベリル、そして2着入線し、G1レース5勝の実績を誇るゴールドドリームら。つまりは「国内最上位ダート馬2頭」が、今回のフェブラリーステークスは不在となります。
こうなるとやはり残された日本勢はがぜん「フェブラリー取り」に色めき立つことでしょう。そのことを表すかのように2頭はおらずともかなり濃いメンバーが顔をそろえることとなりました。まずはブックメーカー「bet365」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【フェブラリーステークス2020オッズ】
※オッズは20日午前11時現在
オッズ上大きな注目を集めているのは2頭。古豪と期待の超新星といったところでしょうか。
まずは昨年のフェブラリーステークス覇者であるインティ(Inti)2.50倍。昨年末のチャンピオンズカップでは先ほどご紹介した2頭に続く3着入線となりました。
2019年、未勝利戦から7連勝でフェブラリーステークスを制覇するという、正に「完璧なサクセスストーリー」を披露したインティ。しかしその後はかしわ記念(地方G1、1600㍍・ダート)においてゴールドドリームの前に敗れると、やや精彩を欠く成績が続いています。
年明け初戦となった前哨戦のひとつ、東海ステークス(G2、1800㍍・ダート)においては枠順の関係もあり得意な位置取りでのレースではなかったことが影響したのか3着。それでも陣営からは「番手でも折り合えた、フェブラリーステークスはこの馬にとって舞台も好転する」と、手ごたえを感じさせるコメントを残しています。昨年制覇したこの舞台で今一度復活の勝利を挙げることが出来るでしょうか。
「ダート路線に現れた新たな主役候補」といえばこの馬でしょう、2018年の安田記念馬にして、前走の根岸ステークス(G3、1400㍍・ダート)において圧巻のパフォーマンスをみせて勝利した、モズアスコット(Mozu Ascot)2.75倍です。
父はあのフランケルということを考えれば、やはりダート馬のイメージがつかない1頭。それでも、根岸ステークスで見せた上りタイムは0.1秒差で全体2番目ながらも、他の馬が最後方付近から差し込んできた馬たちであるのに対し、出遅れながらも中団待機からこの末脚を繰り出したのには度肝を抜かれたファンも多かったのではないでしょうか。
斤量も58キロを背負いながら勝利。砂をかぶるのも問題がなかったなど、収穫の多かったモズアスコット陣営。未知の存在ではあるものの、やはり無視できない1頭でしょう。
2頭からはやや離されたオッズではありますが、11.00倍で続くのは昨年の東京大賞典2着入線にして、2018年のフェブラリーステークス馬、地方所属のノンコノユメ(Nonkono Yume)。
昨年のJBCスプリント(地方G1、1200㍍・ダート)を「元中央馬」であった当時地方所属のブルドッグボスが制したように、ここ最近のダート路線においては地方馬も決して軽視できない存在であることは、ご周知のとおり。ノンコノユメ自身も元々は中央馬として一線級だった1頭。そんな馬が地方で復活を遂げて今一度中央に挑むこととなります。
注目ポイントはもうひとつ。「鞍上が主戦の真島大輔騎手のまま」挑んでくるという点。
地方から挑戦する時点で中央の騎手に騎乗依頼をする陣営も少なくはない中で、人馬一体となり「地方からの刺客」として挑んでくるその姿は、同馬のファンならずとも熱いものがあります。そういった意味でも、楽しみな1頭です。
昨年、一気に伸びを見せたといえばプロキオンステークス(G3、1400㍍・ダート)を制したアルクトス(Arctos)10.00倍。
初のG1チャレンジとなったマイルチャンピオンシップ南部杯(地方G1、1600㍍・ダート)においては、ゴールドドリームに先着の2着と、最上位レベルでも十二分に戦える力を見せてくれました。休み明けとなる点がややネックではありますが、さらなる成長があれば十分上位候補の1頭といえます。
更に、そのアルクトスにマイルチャンピオンシップ南部杯にて完勝したのがサンライズノヴァ(Sunrise Nova)8.00倍。
「東京マイスター」として有名な1頭ではありますが、フェブラリーステークスでは結果を残せていません。それでも昨年G1勝利を挙げるなど、一発の怖さは秘めています。
その他、昨年の3歳ダート重賞であり、フェブラリーステークスと同舞台のユニコーンステークスを制したワイドファラオ(Wide Pharaoh)や、東海ステークスにおいて抜群の末脚を見せつけたヴェンジェンス(Vengeance)が11.00倍。2017年の2歳G1、ホープフルステークス勝利以来からの復活を目指す、タイムフライヤー(Time Flyer)が21.00倍となっています。