音楽界最高峰の祭典と呼ばれるグラミー賞が現地時間2月5日にロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナで行われます。昨年は新型コロナウィルスの影響で授賞式の会場をラスベガスに移して開催されましたが、今年は例年通り受賞発表の舞台を再びロサンゼルスに戻しました。1959年の第一回グラミー賞授賞式より続く、歴史も権威もある祭典ですが、近年は選考過程に疑問を呈したアーティストがボイコットを表明したり、アメリカのTV中継の視聴者数も減少傾向にあるなど、主催のレコーディング・アカデミーに対する反発が強まっています。とはいえ、選ばれる楽曲やパフォーマンスが素晴らしいことに違いはありません。日本では、2月6日午前8時からWOWOWで独占生中継される予定です。第65回グラミー賞ではどのようなドラマが起きるでしょうか?
まずは、グラミー賞の主要4部門を見ていきましょう。
・年間最優秀アルバム賞ーアルバム演奏者および制作チームに授与
・最優秀レコード賞―シングル曲演奏者および制作チームに授与
・最優秀楽曲賞―シングル曲の作詞者、作曲者に授与
・最優秀新人賞―この1年で著しい活躍を見せた新人に授与
その他の賞は、ジャンルによってアートワークやミュージックビデオを含み演奏者や製作者に授与されますが、2023年現在84カテゴリーと膨大になっていることからテレビ放送されるのは上記の主要4部門と最も人気のあるジャンルから1〜2カテゴリーの授賞式のみとなっています。また、音楽業界へ長年貢献してきた者にも特別賞が授与されます。
第65回グラミー賞主要4部門の内、アルバム賞・レコード賞・楽曲賞3部門の展望を「bet365」をご覧頂きながらご紹介します。
最優秀アルバム賞受賞の最有力はビヨンセ!
第65回グラミー賞の最多ノミネートは、女性アーティストとして最多9部門を誇るビヨンセです。キャリアトータル28回の受賞歴を持つビヨンセが6年ぶりにリリースした『Renaissance』が今回最優秀アルバム賞にノミネートされ、受賞予想でも1.66倍と他に差をつけています。
このアルバムは、ビヨンセとジェイ・Z、ザ・ドリーム、トリッキー・スチュワート(ザ・ドリームのプロデューサー)がソングライティングに参加し、最優秀レコード賞にノミネートされている「BREAK MY SOUL」が先行曲として収録されています。
ビヨンセに続いて人気なのがアデルで、主要3部門を含む7部門にノミネートされています。アルバム賞にはビルボード・チャートで6週連続首位を獲得、世界34ヶ国で1位を記録、更にアメリカとイギリスにおいては同年に最もセールスを記録したアルバムとしてモンスター・ヒットとなった『30』がノミネートされており、予想オッズは3.75倍です。
そして、主要3部門を含む6部門でノミネートされたハリー・スタイルズのアルバム『Harry’s House』が4.00倍予想です。ハリー・ズタイルズはソロ活動を開始してから、目覚ましい活躍と鮮烈な楽曲をリリースしてきました。特に、このアルバムの先行曲である「As It Was」は全米チャートで通算15週1位を獲得し、史上4位の全米1位最長記録を達成しています。どの作品も素晴らしく甲乙つけ難いですが、果たして最優秀アルバム賞は誰の手に渡るのでしょうか?
【年間最優秀アルバム賞オッズ】
※オッズは2日午後8時現在
最優秀レコード賞、楽曲賞はアデルが優勢の予想!
最優秀レコード賞、楽曲賞の受賞予想は、どちらもアデルの「Easy on me」がそれぞれ1.80倍、1.90倍と優勢の見方となっています。この楽曲は、前作より約6年ぶりにリリースされたもので、アルバムタイトルと同じく30歳を迎えたアデルの心情が色濃く反映されています。そして、ハリー・スタイルズの「As It Was」もレコード賞受賞予想オッズ2.60倍、楽曲賞3.20倍と少し差をあけての2番人気となっています。
レコード賞受賞予想3番人気はビヨンセの「Break my soul」で9.00倍ですが、楽曲賞受賞予想の3番人気はテイラー・スイフトの「All Too Well」が4.00倍となっています。こちらは、2012年リリースのアルバム再録版に含まれるもので、新たに「All Too Well:The Short Film」としてテイラーが初監督を務めた短編映画としても話題を集めました。今年のアカデミー賞候補とも言われており、注目の楽曲です。
また、今回のグラミー賞で3年連続3回目のノミネートとなるBTSが初受賞できるかにも注目が集まります。コールドプレイとのコラボ曲である「My Universe」で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞、「Yet To Come」で最優秀ミュージック・ビデオ賞にノミネートされています。
また、今回のノミネートを見て1970年代に世界を席巻したABBAが何故入っているのかと疑問に思った方もいるかもしれませんが、実は2021年の秋に40年ぶりのアルバム「Voyage」をリリースしています。既にロックの殿堂入りを果たしているABBAですが、グラミー賞の受賞歴はなく今回1番の大穴と言えるかもしれません。アルバム賞/レコード賞受賞予想オッズは共に51.00倍です。
そして、これまでにグラミー賞26回ノミネートで受賞10回、昨年には特別功労賞生涯業績賞受賞の経歴を誇る大ベテランのボニー・レイットの「JUST LIKE THAT」が楽曲賞にノミネートされているのにも注目です。
グラミー賞常連とも言えるビヨンセが第63回以来圧巻の4冠を飾り最多受賞歴を更新するのか、2017年にもグラミー対決となり史上最大の番狂わせを起こしたアデルがその冠を奪うのか?躍進が止まらないハリー・スタイルズの主要部門初受賞となるのか、ベテラン勢の勢いも衰えない中、第65回グラミー賞の行方はどうなるのでしょうか?