卓球世界最強を決める大会、2017年世界卓球の始まりが近づいてきました。日本代表選手たちは、欧州の地で最強中国に勝負を挑みます。この世界最高の舞台で、日本は中国の圧倒的支配を打破することができるのでしょうか。戦いは5月29日(月)に幕を開けます(~6月5日)。
世界卓球とは
【世界卓球2017】
卓球の世界における最高の舞台、それが世界卓球です。国際卓球連盟が主催する国際大会の中で最高の権威を誇り、それはオリンピックさえもしのぎます。2年に1度、ヨーロッパかアジアの都市で開催されます。日本でも、直近では2009年に横浜で大会が行われました。今年の舞台はドイツ・デュッセルドルフ。日本人が多く在住していることでも有名な都市です。
前回大会結果
第53回大会となる2015年は中国・蘇州で開催されました。2005年上海大会以来の中国開催。世界一の卓球人気を誇る中国が熱く燃え上がる大会となりました。そのあと押しもあってか、混合ダブルスを除く全種目の決勝戦は中国人選手のみ。中国勢の圧倒的な強さを改めて確認する結果となりました。
男 子
男子シングルスでは、中国の方博を破った馬龍が初優勝を果たしました。男子ダブルスでは、馬龍とともに中国トップ3と称される張継科と許昕のコンビが、同じく中国の樊振東と周雨を破って優勝しています。
日本人選手は、シングルスで水谷隼がベスト8、丹羽孝希がベスト16に進出しました。ダブルスでは、丹羽孝希と松平健太のペアが韓国チームを破って銅メダルを獲得しています。
女 子
女子シングルスでは、2011年王者の丁寧が劉詩雯に勝利して王座の奪還に成功しました。女子ダブルスでは、劉詩雯と朱雨玲のペアが李暁霞と丁寧を破り、金メダルに輝きました。劉詩雯はシングルスでの借りをダブルスで丁寧に返す展開となっています。
日本人選手は、シングルスでは伊藤美誠がベスト8に進出しました。14歳192日でのベスト8は日本歴代最年少。同大会の新人賞を受賞しています。ダブルスでは、福原愛と若宮三紗子のペアがベスト8という結果を残しました。
混合ダブルス
日本の吉村真晴・石川佳純ペアが見事決勝に進出。許昕と韓国の梁夏銀ペアの前に敗退するも、1977年バーミンガム大会以来となるダブルスの銀メダルを日本にもたらしました。
世界卓球2017日本人出場選手とシード
<男子シングルス>
第6シード:水谷 隼(木下グループ)
第10シード:丹羽 孝希(スヴェンソン)
第15シード:松平 健太(ホリプロ)
第24シード:村松 雄斗(東京アート)
第53シード:張本 智和(JOCエリートアカデミー)
<女子シングルス>
第6シード:石川 佳純(全農)
第8シード:平野 美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)
第9シード:佐藤 瞳(ミキハウス)
第10シード:伊藤 美誠(スターツSC)
第22シード:加藤 美優(日本ペイントホールディングス)
<男子ダブルス>
第1シード:大島祐哉(エースクルーエンタテインメント)・森薗政崇(明治大)
第9シード:丹羽孝希・吉村真晴(名古屋ダイハツ)
<女子シングルス>
第8シード:伊藤美誠・早田ひな(希望が丘高)
第28シード:石川佳純・平野美宇
<混合ダブルス>
第6シード:吉村真晴・石川佳純
ノーシード:田添健汰(専修大)・前田美優(日本生命)
男子注目選手
【世界卓球2017男子シングルス1回戦オッズ】※31日午前9時更新
※ブックメーカー「bet365」発表。31日午前8時現在
最強王者・馬龍がその王座をさらに盤石のものに
リオ五輪金メダル、2015年世界卓球シングルスチャンピオン、27か月連続世界ランキング1位と、名実ともに世界最強の男である馬龍。今大会も優勝候補筆頭はこの選手となるでしょう。かつて指摘されていたメンタルの弱さも克服し、黄金時代を築き上げつつあります。
28歳とアスリートとして成熟を迎える年齢になり、さらにそのクオリティを上げ続けている馬龍。このまま前人未到の領域まで突き進んでいくのでしょうか。王者の進撃は留まるところを知りません。
“ストップ中国”は日本のエース、水谷に託される
水谷はリオ五輪では準決勝で馬龍と対戦し、惜しくも敗北を喫しました。それでも最強王者を強く苦しめ、勝利の希望を抱くことができる戦いぶりを見せています。長く続く中国勢の支配を覆す最大候補は水谷となるはずです。
2017年の全日本選手権では4年連続9回目の優勝を達成し、通算優勝回数史上最多の選手となりました。水谷が日本史上最高の卓球選手だと言っても過言ではないでしょう。
大会の組み合わせでは、水谷は準決勝で馬龍との対戦を迎えることになります。奇しくもリオ五輪の時と同じタイミング。今度こそ馬龍に勝利し、リベンジを果たしてほしいものです。
女子注目選手
【世界卓球2017女子シングルス1回戦オッズ】※31日午前9時更新
※ブックメーカー「bet365」発表。31日午前8時現在
悩める女王、丁寧はその地位を維持できるか
リオ五輪金メダリスト、2011年、2015年世界卓球シングルスチャンピオンに輝いた世界女王・丁寧。近頃はコンディションが整わず苦戦を喫していますが、その実力は世界最強の名に恥じないものです。
リオ五輪の閉幕式の際には中国の卓球選手ではじめて旗手を担当しました。卓球のみならず、中国のスポーツ全体を代表する存在であることの証明だと言えるでしょう。今大会もその手中に収め、その支配をさらに強固なものにできるでしょうか。
アジアを制した平野は世界も掴む!
4月に中国で開催されたアジア選手権の女子シングルス。この大会の結末は世界に衝撃を与えました。日本の17歳、平野美宇が並みいる強敵を撃破し、最年少、そして日本人としては21年ぶりとなる優勝を果たしたのです。平野は準々決勝で丁寧、準決勝で世界ランキング2位の朱雨玲、そして決勝では同5位の陳夢を下しています。
アジア大会とはいえ、卓球界をリードしているのはアジアの一員中国。そしてその中国勢を3連続で撃破しての王座ですから、もはや世界チャンピオンと変わりはありません。
名実ともに世界最強の座を手にするためにも、今大会なんとしても優勝したいところです。とはいえ、中国チームも自国での屈辱を晴らすために平野対策に万全を期してくることでしょう。丁寧の時代、そして中国の時代を終わらせ、平野が、そして日本が世界をリードしていくために。今回の世界卓球が新たな伝説の始まりとなるかもしれません。