テニス世界4大メジャーの一つ、ウィンブルドン選手権の開催が近づいてきました。純白を身にまとった世界トップクラスの選手たちが、その偉大なる歴史に自身の名前を刻み込むための戦いに身を投じます。
2018年大会は7月2日(月)に始まり、15日(日)に決着を迎える日程となりました。ブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」が男女シングルスの優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
最古にして最高のテニストーナメント、ウィンブルドン
ロンドン南西部、ウィンブルドンに位置するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブで開催されているウィンブルドン選手権。世界で最も高い格式を誇っています。
英語における正式名称はThe Championshipで、日本では全英オープンとも呼ばれている大会です。
ウィンブルドンは世界最古のテニストーナメントとしても知られており、男子シングルスは1877年、女子シングルスは1884年にスタートしました。
女子シングルスの初代王者モード・ワトソンが全身白のウェアで勝利を飾ったことから、ウィンブルドンでは試合や練習で白いウェアを着用することがルールとして定められていることも特徴の一つです。
昨年男子はフェデラーが歴代優勝最多記録を更新
2017年の男子シングルスを制したのはロジャー・フェデラー。2012年以来の8回目のウィンブルドン制覇を達成し、これまでタイ記録で並んでいたウィリアム・レンショーとピート・サンプラスを超えて歴代最多優勝記録を更新しています。
フェデラーは準々決勝でミロシュ・ラオニッチ、準決勝でトマシュ・ベルディハと実力者を続けてストレートで撃破。
決勝では初のウィンブルドン決勝進出となったマリン・チリッチをこれまたストレートで撃破し、王座奪還に成功しました。
日本からは錦織圭、杉田祐一、ダニエル太郎の3選手が出場。錦織は3回戦、杉田は2回戦、ダニエルは1回戦で敗退となっています。
女子はムグルサがメジャー2冠目を達成する
全大会王者のセレーナ・ウィリアムズを欠いて行われた2017年女子シングルスを制したのはガルビネ・ムグルサ。24歳のスペイン人が2016年の全仏オープンに続く、メジャー2冠目を達成しました。
ムグルサは準々決勝でロシアのスベトラーナ・クズネツォワ、スロバキアのマグダレナ・リバリコバをフェデラー同様にストレートで下し、2015年に続く2度目のウィンブルドン決勝進出を奪取。
さらに決勝でもビーナス・ウィリアムズにストレートで勝利し、初のウィンブルドン制覇を成し遂げています。
日本からは土居美咲、尾崎里沙、大坂なおみ、奈良くるみ、日比野菜緒の5選手が出場。土居、尾崎、奈良、日比野が1回戦で敗退、大坂が3回戦で準優勝のビーナス・ウィリアムズに敗れました。
今年もフェデラーの勝利に一番の期待がかかる
【ウィンブルドン2018男子シングルス優勝オッズ(上位)】
※オッズは28日午前10時現在
<ピナクル 登録方法>
ブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」発表の優勝オッズによると、男子で最高オッズとなる2.730倍が付けられたのは昨年度覇者のロジャー・フェデラー。史上最強の王者の9冠に一番の期待がかかっています。
2番手は怪我からの復活を果たしつつあるノバク・ジョコビッチで5.470倍、3番手は先日全仏オープンで前人未到の11冠を達成したラファエル・ナダルで6.600倍、4番手は昨年度ファイナリストのマリン・チリッチで7.610倍となりました。
なお、日本の錦織圭は15番手の102.460倍となっています。
女子は過去2冠のクビトバがトップに
【ウィンブルドン2018女子シングルス優勝オッズ(上位)】
※オッズは28日午前10時現在
ブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」が発表した優勝オッズで女子のトップに立ったのは、ウィンブルドンを過去に2回制しているチェコのペトラ・クビトバ。かつての女王のオッズは4.370倍となりました。
2番手は復活の最強女王セレーナ・ウィリアムズで5.930倍。3番手は昨年度王者のムグルサで9.270倍、4番手はメジャー2冠のアンゲリク・ケルバーで14.550倍となっています。
なお、日本の大坂なおみは15番手タイの35.690倍となりました。
フェデラーのウィンブルドン9冠達成は目の前か
2003年の初優勝を皮切りに、2007年までの5連覇に加えて2009年、2012年、2017年と実に歴代最多の8回ウィンブルドン制覇を達成しているロジャー・フェデラー。
一度は相次ぐ怪我で下り坂を辿るかと思われましたが、今年2月には全豪オープンを勝ち取って5年4か月ぶりに再び世界ランキング1位に返り咲くなど、まだまだ世界トップの実力を持つことを知らしめました。
今大会では1年ぶりにアンディ・マリーがツアーに復帰し、ラファエル・ナダルやノバク・ジョコビッチと合わせて世界のビッグ4が久しぶりに顔を合わせることとなります。
とはいえ、フェデラーも準備は万全です。優勝を果たした昨年同様、全仏オープンを中心としたクレーコートシーズンを全て休養にあてており、コンディションを整えました。
歴代史上最高選手の1人、フェデラーがその計画通り、ウィンブルドン9冠目を飾る可能性は非常に高いと見ていいはずです。
錦織は今大会を世界トップ復活の契機とできるか
クレーコートシーズンを終え、芝シーズンの始まりとなるドイツのゲリー・ウェバー・オープンに出場した錦織圭。
ウィンブルドンの前哨戦でもあるこの大会で、錦織は世界ランキング36位のカレン・ハチャノフ(ロシア)相手に2回戦で敗退の憂き目にあいました。
長期間の怪我による欠場により世界ランキングを27位としている錦織ですが、この大会での収穫は体の状態はよさそうだということでしょう。
全仏オープンでは4回戦で敗れるも、その相手は準優勝を遂げたドミニク・ティエムと、復調の兆しは見せています。
かつて世界4位にまで登った実力を取り戻し、そしてさらにそれを超えていく復活劇を錦織は見せることができるでしょうか。
クビトバ、悲劇からの完全復活を果たすか
2011年と2014年の2回ウィンブルドンを制しているペトラ・クビトバ。そんな彼女を悲劇が襲ったのは2016年12月20日のことでした。
チェコ東部にある自宅にいたクビトバを、押し込んだ強盗が刃物で襲ったのです。この時のもみ合いでクビトバは利き手の左手を負傷。選手生命を脅かす事態となってしまいました。
しかし、半年のリハビリの末2017年の全仏オープンで見事復帰を果たすと、世界ランキング(6月27日現在)で8位につけるなど、世界トップクラスの実力を維持しています。
クビトバは先日イギリスで開催されたネイチャーバレー・クラシックを制し、今季5勝目をあげました。
5勝目という数字は現在ツアー最高のもの。悲劇を乗り越え、絶好調のクビトバが3度目のウィンブルドン制覇を成し遂げる可能性は非常に高いと見ていいでしょう。
大坂なおみは順調に頂点への階段を駆け上る
今年3月にグランドスラムに次ぐ格式を誇るプレミア・マンダトリーの一つ、インディアンウェルズ・マスターズを制したことで世界的な注目を浴びた大坂。
20歳にして世界ランキングも18位まで上昇し、トップ10入りも現実的な目標となりました。
以前から指摘されていたメンタルの弱さも近頃は克服しつつあり、全仏オープンでは苦手のクレーコートでもしっかり戦い抜くなど、成長を見せています。
ウィンブルドンでは昨年の3回戦が最高成績ですが、今の勢いなら一気に頂点まで駆け上がることも夢ではないかもしれません。