このレースの名前を聞くと「いよいよ欧州競馬が本格化してきた」と感じる方も多いのではないでしょうか。イギリスのアスコット競馬場でキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(海外G1、2400㍍・芝)が開催されます。
レースの選択が多様化したことや、比較的余裕のあるローテーションを組むことの多い現代競馬においては、出走頭数がなかなか集まらない年もありますが、今年はかなりの豪華メンバーとなりました。
凱旋門賞へ向けての大事な一戦にして、古馬と3歳馬の力量差を見極める意味もあるキングジョージ。有力出走馬をご紹介する前にまずはブックメーカー「10Bet」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス2019オッズ】
※オッズは22日午前8時現在
<10Bet 登録方法>
もしかすると今、どんなレースに参戦したとしてもこの馬が一番手評価を得るかもしれません。名実ともに「世界最強」の名をほしいままにするエネイブル(Enable)。そのオッズ自体も1.61倍とやはり抜けたものになっています。
デビュー2戦目の条件戦で敗れて以降は10連勝、凱旋門賞(海外G1、2400㍍・芝)を2連覇。キングジョージ自体も2017年に制覇済みと、正にウィンクスと並ぶ現代競馬の生きる伝説的存在です。
今年の復帰初戦となった前走のエクリプスステークス(海外G1、2000㍍)においても、半年ぶりとは思えないレースぶりで勝利。27年ぶり、史上3頭目となる牝馬によるエクリプスステークス制覇となりました。
【エクリプスステークス2019(勝ち馬:エネイブル)】
レースぶりを見ても未だにその強さは健在。しかしながら斤量的な優位が少なくなった古牝馬になってからは、2着馬との着差が少しずつ縮まっているのも事実でもあります。
ただ、陣営からはエクリプスステークスの時点で「エクリプスステークスは決して前哨戦などではない」とのコメントが飛び出していたように、しっかり仕上げてのレースだったことを強調。調子を維持できているかどうかも焦点となります。
ただ冒頭でも述べたように、この馬に実績で勝る馬は今回見当たりません。文字通り「格の違い」を見せつけ、凱旋門賞三連覇へまた一歩近づくことになるのでしょうか。
今回、そんなエネイブルに挑むにふさわしい挑戦者が一頭。現在のワールドベストレースホースランキングのレーティング第1位、クリスタルオーシャン(Crystal Ocean)。オッズは3.75倍となっています。
今年で5歳となるクリスタルオーシャン。クラシックシーズンはなかなか波に乗れなかったものの、4歳シーズンには重賞3勝や、キングジョージで1着馬ポエッツワードにクビ差まで迫る接戦を演じるなど見どころ十分なレースを見せていました。
そしてようやく5歳シーズンとなった今年、重賞2連勝からのプリンスオブウェールズ(海外G1、2000㍍・芝)を制覇。ようやく手にしたG1勝利と同時に、今現在が彼のシーズンの中で最も充実の一途をたどっていると言えるでしょう。
ただ、少しアンラッキーだったのがプリンスオブウェールズで勝利に導いたL.デットーリ騎手が「エネイブルの主戦騎手」であったという点。
流石にエネイブルの居るレースでデットーリを配することはかないませんでした。L.デットーリ騎手とすれば「身体が二つあれば」とでも言いたい状況だったことでしょう。
その代わり今回手綱をとるのは初コンビとなるJ.ドイル騎手。
31歳の年齢的には若手中堅ジョッキーではありますが、昨年のキングジョージやプリンスオブウェールズをポエッツワードで制するなど経験、実績共に申し分ありません。クリスタルオーシャン陣営としても彼ならば十分に期待を持てる人選であることでしょう。
斤量的に毎年優位とされる3歳馬からも注目馬をご紹介しましょう。今年のイギリスダービー(海外G1、2400㍍・芝)を制したアンソニーヴァンダイク(Anthony Van Dyck)。オッズは7.50倍となっています。
5着までがほぼ1馬身以内にひしめき合う大接戦となったイギリスダービーを制したことで、一気に世代のトップへと躍り出たアンソニーヴァンダイク。ただ、前走のアイルランドダービー(海外G1、2400㍍・芝)では、同厩舎のソヴリンに逃げ切り勝ちを許してしまい、2着に敗れましたが、ペースメーカー的なソヴリンがそのまま逃げ切ってしまったという見方をすれば3着馬
とはいえ、55.5キロの斤量で挑めるのは大きなアドバンテージになることは間違いありません。欧州三冠を目指してここも勝利したいところでしょう。
今回のキングジョージには日本にゆかりのある馬が2頭。
1頭目は馬名がその名もジャパン(Japan)。オッズは15.00倍となっています。
日本の競馬ファンからすればまずその馬名で反応せざるを得ませんが、名前のインパクトだけでなく、その実績は目を見張るものがあります。
イギリスダービーでは大接戦の3着、その後キングエドワード7世ステークス(海外G3、2390㍍・芝)そしてパリ大賞典(海外G1、2400㍍・芝)を連勝。一気に世代のトップクラスまで上り詰めました。相手は手ごわいですが、その勢いで戴冠を目指します。
そしてもう1頭が日本より参戦のシュヴァルグラン(Cheval Grand)。オッズは21.00倍となっています。
G1勝利は2017年のジャパンカップ(G1、2400㍍・芝)のみではあるものの、長きに渡り日本のクラシックディスタンス路線の第一線で戦い続けてきたシュヴァルグラン。海外遠征も今年のドバイシーマクラシック(海外G1、2410㍍・芝)で2着に入線するなど、問題ないところを見せています。
そして鞍上にはイギリストップジョッキーのひとりであるO.マーフィー騎手を迎えることに。
外国人騎手との相性が非常に良いシュヴァルグランにとっては、さらなる追い風になると言えるでしょう。好走に期待がかかります。
エネイブルVSクリスタルオーシャンに注目が集まる今年のキングジョージ。ですがその他のメンバーも十二分に骨っぽいと言えるでしょう。
キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスは7月27日土曜日、日本時間23時40分発走予定です。