先週の大きな見どころといえば、今年が第一回開催となったサウジカップを中心とした、サウジカップデー。日本からも数多くの遠征馬がチャレンジし、メインレースであるサウジカップこそ着外に終わりましたが、サウディアスプリントにおいてマテラスカイが2着入線。そして、サウジダービーを日本馬フルフラットが見事に勝利を挙げるなど「競馬大国」としての意地を見せる結果となりました。
2月が終わると日本競馬界やファンは、本格的にスタートするクラシック路線や、春のG1ラッシュ。更に、ドバイワールドカップデーなどに注目が集まりがちですが、欧州ではこの3月と4月が大きなクライマックスを迎えます。そのひとつが、3月10日から3月13日にかけて、チェルトナム競馬場で開催される「チェルトナムフェスティバル」です。
延べ4日間で12のG1レースを中心に27ものレースが行われるビッグイベント。イギリスとアイルランドを中心とした欧州競馬ファンも大熱狂し、レース開幕と共にスターターがテープを挙げる瞬間の大歓声は「チェルトナムロアー(チェルトナムの轟音)」と呼ばれています。
その人気の高さは、英国における馬券売り上げの上位をイギリスダービーそして、4月に開催される同じ障害レースの祭典、グランドナショナル以外ほとんどをこのチェルトナムフェスティバルで開催されるレースが占めていることからもおわかりいただけるでしょう。
今回はそんなチェルトナムフェスティバルからチャンピオンハードルチャレンジトロフィー(障害G1、約3319㍍)。そして、チェイス競走にしてこのフェスティバルのメインレースチェルトナムゴールドカップチェイス(障害G1、約5331㍍)をご紹介いたします。
チャンピオンハードルチャレンジトロフィー2020
昨年はBuveur d’ Air(ヴュベールデール)の三連覇達成の可否に注目が集まったチャンピオンハードルチャレンジトロフィー。結果は、5歳馬の新星エポワールダレンが勝利しましたが、そのエポワールダレンはケガが悪化し2019年8月に安楽死。ヴューベールデールも不在となったことから今年は一変、ニューカマーたちが争うこととなりました。
まずはブックメーカー「888Sport」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【チャンピオンハードルチャレンジトロフィー2020オッズ】
※オッズは9日午前8時現在
一番手評価となっているのが、6歳馬のエパトン(Epatante)。オッズは4.50倍となっています。
こちらは8戦6勝2着1回。昨年末にはG1レースのラッド・ブロックス・クリスマスハードルを勝利。こちらも危なげないレースぶりで未だ底を見せていない怖さがあります。加えて、これまでの戦績で光るのはNHF(障害馬の為の平地レース)においても活躍を見せている点。今回の出走馬の中でも屈指のスピードホースです。
勢いのある2頭が中心視される中、他の馬で注目すべきは昨年のチェルトナムフェスティバル最終日に開催されたJCBトライアンフハードルを制したペントランドヒルズ(Pentland Hills)。
そのレースを含めてハードル転向後3連勝。しかし休養あけてからここ2戦はやや精彩を欠く結果を残しています。とはいえ、状態の良かったころに戻っていれば上位2頭とも互角に渡り合えそうな1頭です。
チェルトナムゴールドカップチェイス2020
最終日に開催されるチェルトナムゴールドカップチェイス。5000m以上の長く過酷な戦いを勝ち抜くためには、実力だけでなく運も必要となります。まずはこちらも、ブックメーカー「888Sport」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【チェルトナムゴールドカップチェイス2020オッズ】
※オッズは9日午前8時現在
かなり混戦模様ですが、今回一番手の4.50倍のオッズを付されたのはサンティーニ(Santini)。
チェイス競走においても実績を残していますが、ハードル競走でも勝利を挙げているなど、障害レースその両方において実力馬であるサンティーニ。このことに加えて、チェルトナム競馬場で開催されるレースは4戦2勝、複勝圏100%と好相性なのも見逃せない点でしょう。
手術明けの前走も着差こそないもののしっかりと勝利。一叩きして更に上向きとなれば、ビッグタイトル獲得に陣営も期待がかかります。
ただしそんなサンティーニには最大のライバルが。それが、昨年のチェルトナムゴールドカップチェイスの覇者であるアルボウムフォト(Al Boum Photo)。オッズは5.00倍となっています。ちなみに昨年は、「bet365」において15.00倍のオッズでした。
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実力馬の1頭ながら、中穴評価に甘んじていた昨年のチェルトナムゴールドカップチェイス。ただ終わってみれば2馬身半差をつけて勝利をおさめ、世代のトップへと躍り出ました。
2019年~2020年に関しては、4戦3勝2着1回。20年の初戦もしっかり勝利を挙げ、順調ではありますが、やや気がかりなのはここ最近こそ安定してはいるものの、2018年には6レース中3レースが落馬などにより結果が残らない時期もあったという点。実力こそあれど、そういった部分からも2番手評価といったところでしょうか。
G1レース2連勝で勢いに乗るデルタワーク(Delta Work)も面白い1頭でしょう。オッズは6.50倍となっています。
障害競走へと転向した当初はハードル競走を主戦場にしていましたが、好走こそすれど勝ちきれないレースが多かったデルタワーク。しかしチェイスに転向したとたん、その才能が開花。8戦6勝、更にはここ最近のG1レース2連勝と、こちらもチェイス競走トップクラスの1頭となりました。
ちなみに昨年のチェルトナムフェスティバルでは、ノービスに参戦し、3着という結果に終わっています。
世界で見ても類を見ない、正に「競馬漬け」の4日間となるチェルトナムフェスティバル。是非とも、日本の障害レースとはまた一味違ったダイナミックな競争の数々を、楽しんでみてはいかがでしょうか。