いよいよサッカーの祭典「ブラジルワールドカップ」(ブラジルW杯)が、日本時間の13日午前5時から、ブラジル対クロアチア戦を皮切りにスタートします。
挨拶代わりにではないですが、開幕戦の「ブラジル―クロアチア」の勝敗オッズが英国老舗ブックメーカー(スポーツブック)「William Hill(ウィリアムヒル)」より発表されていますので、ご紹介しておきましょう。
【ブラジルW杯開幕戦「ブラジル―クロアチア」勝敗オッズ】
・ブラジル勝利:1.28倍
・クロアチア勝利:10.00倍
・ドロー:4.80倍
※オッズは2日午後3時現在
5月8日発表の最新のFIFAランキングでは、ブラジルが4位、クロアチアが20位となっています。ランキングとホームアドバンテージを加味すると、ブラジル断然有利という見方が強いようですね。
とはいえ、開催国のブラジルではW杯の機運の高まりとは裏腹に、スタジアムや宿舎、関係施設など工事の遅れや、W杯開催に反対した住民の反対運動など不安材料が取りざたされています。ブラジル代表選手たちですら、多くの警備員に守られるという厳戒態勢の元に最終調整を行っているほどです。
しかし、あと開幕までは2週間を切っています。待ったなしに世界中のサッカーファンの視線が日本と反対側のブラジルに注がれます。
W杯開幕前に最も注目されることがあります。それは「どの国が優勝するのか?」ということではないでしょうか。日本のスポーツ紙などにも優勝予想に関する記事が並んでおりますが、とりわけ私が注目しているのが、ブックメーカー各社が発表する「優勝オッズ」です。
ブックメーカーとは、ここで改めて述べる必要はないかと思いますが、スポーツの勝敗についてオッズを提示して賭けを募集する賭け屋のことで、イギリスなどを中心に各国政府のライセンスに基づいて合法的に運営されています。ブックメーカー各社にはプロのオッズメーカー(オッズを決める担当者)がいて、豊富なデータと経験に基づいてオッズを決定しています。
各ブックメーカーは、このオッズを適正なものにしなければ会社として大きな損害を被ることになるので、オッズの決定には特に神経をとがらせています。もし、「優勝は厳しいだろう」と予想してオッズを高めに設定していたチームが優勝すれば、それだけ多くの払い戻しが必要になるため、ブックメーカーとしては大きな損害となる可能性があるのです。
なので、今回ブラジルW杯が行われますが、サッカーに精通している方も、これからサッカーを見ようとする方も、ぜひブックメーカーのオッズを世界的に見て自分の応援するチームがどの位置にあるのかを知っておくことで、スポーツの楽しみ方がまた一つ増えるのではないでしょうか。そして、もう一歩踏み込んで、ブックメーカーで遊ぶことで、試合の勝ち負け以上の興奮を味わうことが出来ます。
では、今回のブラジルW杯の優勝国を予想しているブックメーカーの「優勝国オッズ」を、5つのブックメーカーで比較してみましょう。
★ブックメーカー5社のW杯優勝国オッズ比較★
【「ウィリアムヒル」優勝国オッズ】
【「bet365」優勝国オッズ】
※各ブックメーカーのオッズは、2日午後11時現在
さて、5つのブックメーカーのオッズを見てみて、どのようにお感じになったでしょうか?これら5つのブックメーカーのトップ5の国は、すべて同じであることに気づくでしょう。ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペイン、ベルギーの順です。
ブラジルにはFCバルセロナで活躍しているFWネイマールがいて、FIFAランキング7位のアルゼンチンには同じくFCバルセロナのエース、リオネル・メッシがいるなど、絶対的エースストライカーが存在します。同2位のドイツには、ドイツ代表歴代1位タイとなる得点を奪っているFWミロスラフ・クローゼが、同1位のスペインには「無敵艦隊」を前大会王者へと導いた絶対的MFのシャビがいて、両ベテランの活躍にも注目が集まります。
優勝大本命は、開催国のブラジルで「NetBet」が2.95倍と最も低く、「William Hill(ウィリアムヒル)」が4.00倍と最も高いオッズを付けています。同じ1番人気でもオッズに差があることに気付かれたのではないでしょうか?その一方で、どのブックメーカーのトップ5はどれも順番が同じではないか!という意見もごもっともだと思います。
だけど、よく考えると各ブックメーカーの目利きのプロがオッズを提示していて、優勝国の予想順位が同じということを考えると、この5か国はブラジルW杯で最も優勝に近いチームであると見てもいいのではないでしょうか?
競馬の予想のように、予想に様々なばらつきがあるならば、どの予想屋を信じるか?という点が自分の予想を決定する上で最も大事な要素になると思います。しかし、ブックメーカー各社が同じような予想をしているのであれば、あとは自分が応援しているチームの優勝オッズが高いブックメーカーで勝負した方が、勝った時の払い戻しが多い分いいでしょう。
なので、ブックメーカーで今回のW杯の優勝国を予想するならば、いくつかのブックメーカーが提示しているオッズを比較した上で決定するのがベストだと思います。実際、私たち日本人には「サムライブルー」の血が流れているので、多くのファンは「優勝は日本」と応援の意味を込めてベットするでしょう。「日本にも、本田圭佑や香川真司ら世界で活躍するスターがいる!」と。
【壮行試合:日本―キプロス(5月27日)ダイジェスト映像】
日本の優勝オッズはどのブックメーカーでも100倍越えをしており、現実的には優勝は厳しいかもしれませんが、どうせなら高いオッズを提示しているブックメーカーを選ぶのが賢明でしょう。
しかし、人間の心情としてそうはいかないのが面白いところです。「日本の優勝オッズをそんなに高くするなんて、なめたらいかん!」と大和魂に火が付き、あえて低いオッズを提示しているブックメーカーを支持するファンもいるでしょう。単純にいかないのが人間なのですから。
ブックメーカーのオッズを参考にしながら、あとは各紙スポーツ紙などのメディアの予想や分析などを考慮して決定すればいいでしょう。金融大手の「ゴールドマン・サックス」が、1960年以降に行われた約1万4000の国際試合を分析した統計モデルを基に今回のW杯の優勝国を予想した結果、ブラジルが優勝確率48.5%となり、アルゼンチンの14.1%、ドイツの11.4%と続いていることをロイター通信が報じていました。奇しくも、ブックメーカー各社の予想と同じ結果となっていますね。
仮に、ブックメーカー予想では高いオッズ(つまり、優勝から遠い)と予想されていても、「私は、この国が優勝すると思う。なぜなら好きだからだ」というシンプルなファン心理にしたがって予想することは、誰にも文句が付け難くて楽しいでしょう。
最後に一つだけ言わせてもらえば、「予想に絶対はない」ということです。前回の南アフリカ大会では、見事にスペインの優勝を当てたタコがちょっとしたニュースにもなりましたが、当たるのも予想ならば外れるのも予想なんです。自分があたかもチームの監督になったかのように考えて、自分の予想を結論付ける。大会が始まる前のこの時間が最も楽しかったりするものです。
あなたの優勝予想はどうでしょうか?すでに、ブラジルW杯の世界に入っているでしょうか?スポーツの楽しみ方の一つとして、ブックメーカーで遊んでみるのもリアル感が倍増していいものですよ。
【2010年南アフリカW杯総集編】