欧州はおろか世界一の格式を誇るといっても過言ではない第95回凱旋門賞(海外G1、2400㍍・芝)が、いよいよ目前に迫ってきました。
今年はロンシャン競馬場が改装工事のため、シャンティイ競馬場で行われることになります。この点も昨年までとは違うだけに、しっかり予想のポイントとしておさえておきたいところです。
【凱旋門賞2016枠順】(30日更新)
1番 ニューベイ(仏) 59.5kg V.シュミノー 8番ゲート
2番 ポストポンド(英) 59.5kg A.アッゼニ 7番ゲート
3番 ミグワール(仏) 59.5kg O.ペリエ 13番ゲート
4番 ハイランドリール(愛) 59.5kg S.ヘファナン 11番ゲート
5番 ワンフットインヘヴン(仏) 59.5kg C.デムーロ 9番ゲート
6番 ザグレーギャツビー(英) 59.5kg J.ドイル 2番ゲート
7番 シルバーウェーヴ(仏) 59.5kg C.スミヨン 4番ゲート
8番 オーダーオブセントジョージ(愛) 59.5kg L.デットーリ 16番ゲート
9番 シルジャンズサガ(仏) 58kg P.ブドー 3番ゲート
10番 ファウンド(愛) 58kg R.ムーア 12番ゲート
11番 ハーザンド(愛) 56kg P.スマレン 6番ゲート
12番 ヴェデヴァニ(仏) 56kg A.バデル 1番ゲート
13番 タリスマニック(仏) 56kg M.バルザローナ 5番ゲート
14番 マカヒキ(日) 56kg C.ルメール 14番ゲート
15番 サヴォワヴィーヴル(独) 56kg F.ティリツキ 10番ゲート
16番 レフトハンド(仏) 54.5kg M.ギュイヨン 15番ゲート
昨年はイギリスダービー馬・ゴールデンホーン(Golden Horn)が、3連覇を目論んでいたトレヴ(Treve)を破り、勝利しました。
【凱旋門賞2015(優勝馬:ゴールデンホーン)】
今年はマカヒキが出走することから日本でも2年ぶりに地上波放送が決定するなど、非常に盛り上がりを見せている凱旋門賞2016。その盛り上がりをさらに過熱させてくれるだけの豪華メンバーが顔をそろえることとなりました。まずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズを確認しましょう。
【凱旋門賞2016単勝オッズ】
※オッズは26日午前9時現在
数々の注目馬を抑えて堂々の1番人気(3.00倍)の評価を下されているのがポストポンド(Postponed)です。
日本の競馬ファンにおいても、ドバイシーマクラシック(海外G1、2410㍍・芝)でドゥラメンテをコースレコードで打ち破ったことから覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。現在、G14勝を含む目下6連勝中と勢いに乗っています。
今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(海外G1、2414㍍・芝)こそ、疾患の為出走を取り消し2連覇とはなりませんでしたが、前走のイギリスインターナショナルステークス(海外G1、2092㍍・芝)では回避したキングジョージを勝利したハイランドリール(Highland Reel)らを相手に完勝を見せます。
まさに向かうところ敵なし、古馬の中では絶対的な地位を築きつつあるポストポンド。凱旋門賞も手中に収め、その評価を確固たるものにできるでしょうか。
凱旋門賞と並び、欧州3冠レースの内のひとつ今年のキングジョージを制したのは、先ほどもご紹介したハイランドリールです。
その華やかな勝鞍に対して、現在のオッズは26.00倍と決して高いとは言えません。
そもそも今年のキングジョージのメンバーは勝鞍がダンテステークス(海外G2、2092㍍・芝)のみ、今年のイギリスダービーでは7馬身以上離された4着のウィングオブデザイア(Wings of Desire)などが上位人気に推されていたようなレースレベルであったことも関係しているでしょう。
当のハイランドリールも、イギリスインターナショナルステークスこそポストポンドの2着入線を果たすも、続くアイリッシュチャンピオンステークスでは7着に敗れるなど、精彩を欠いています。
ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」の高評価を得ている古馬が、昨年のブリーダーズカップクラシックにおいてゴールデンホーンにも勝利した世界指折りの強豪牝馬、ファウンド(Found)です。
牡馬を相手にしたタフなレースもあった中で、今年ここまでG1レース5戦連続2着は立派な数字であり、前走のアイリッシュチャンピオンステークス(海外G1、2000㍍・芝)においても2着入線。そういった堅調さも評価され、現在は8.00倍のオッズとなっています。
さて、2016年の凱旋門賞といえば、この馬を忘れてはなりません。
今年の日本ダービー馬・マカヒキは現在6.00倍、全体でいえば2番目に高い評価を得ています。
前走のニエル賞では落鉄しながらもクビ差で退けて勝利。着差こそ大きくはなかったものの、レース内容には鞍上のクリストフ・.ルメール騎手も大きな手ごたえを感じているようで「3週間後の凱旋門賞は馬のコンディションがもっと良くなると思います。楽しみです」と自信のコメント。
また、現地での1週間前追いきりを確認した管理する友道調教師も「すごく元気がいいみたい。前走後から天気が悪く、馬場が締まっているみたいなので、スピードを出さなくても負荷がかかるのでちょうどいい」と至って順調であることをアピールしています。
日本競馬界の悲願達成に向けて、調整面は順調に進んでいるようです。
今年は冒頭でもお伝えした通りロンシャン競馬場が改修中のため、日本の競馬場とコース形態の似ているシャンティイ競馬場で開催されるだけに、こういった部分もマカヒキ陣営にとってはうれしいことでしょう。
また、マカヒキにとってポストポンドよりも絶対的に優位に立てるのが「斤量面」です。
実際、ポストポンドが59.5キロを背負わされるのに対し、マカヒキは56キロと3.5キロの差があります。
競馬においては「斤量が1キロ違えば2馬身変わる」とも言われているだけに、この差は非常に大きいものとなるでしょう。
直近10年の凱旋門賞の優勝馬の内、7頭が3歳馬である事実が何よりも斤量面におけるアドバンテージの大きさを物語っています。
ですが、このメリットを享受でき、かつ実力のある3歳馬はマカヒキだけにとどまりません。
マカヒキと同じく「ダービーホース」といえば忘れてはならないのが、イギリスとアイルランドの2ヵ国ダービーを制したハーザンド(Harzand)でしょう。現在のオッズは9.00倍となっています。
こちらも3歳馬最上位の実績を残していますが、カギを握るのはフランスの競馬場へ参戦するのが初めてという点でしょう。
更に、凱旋門賞へ駒を進めるライバルも多く出走していたアイリッシュチャンピオンステークスにおいても8着に敗れるなど、果たしてその力がどこまで通用するのか未知数な部分も少なくありません。
評価こそ上記の馬たちには劣るものの、実績面などから見逃せない注目馬もご紹介しておきましょう。
昨年の凱旋門賞において3着入線、アイリッシュチャンピオンステークスにおいても先行策から4着と粘りを見せたニューベイ(New Bay)。3歳時にはフランスダービーを制するなど、実績的には申し分ありませんが、現在のオッズは15.00倍とやや軽視されている傾向にあります。
悪天候などによりスタミナを要するタフなレース展開となれば世界最長距離のG1レース、ゴールドカップ(海外G1、4000㍍・芝)を制した名ステイヤー、オーダーオブセントジョージ(Order Of St George)が13.00倍のオッズが付いています。
オーダーセントジョージと同じく13.00倍の評価ながらに、軽視禁物なのは昨年のカルティエ最優秀2歳を受賞したマインディング(Minding)。古馬や牡馬相手にアイリッシュチャンピオンステークスでは3着と善戦するなど、軽斤量も相まって怖い存在でしょう。
ここでご紹介したファウンドにヨークシャーオークスにおいて圧勝を見せた今年のアイルランドオークス馬セブンスヘブン(Seventh Heaven)も、17.00倍という評価は実績面から考えれば決して高いものとは言えません。
ご紹介したように、上位陣だけを見ていては予想面でも足元をすくわれそうな出走馬は多数存在します。
ポストポンドが貫録を見せるのか、若き3歳馬たちが新時代の訪れを告げるのか、はたまた思わぬ伏兵の台頭か?注目の凱旋門賞2016の発走予定時刻は日本時間の10月2日(日)23:05です。