11月の世界競馬のみどころは、アメリカ競馬の祭典ともいえるブリーダーズカップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップだけではありません。オーストラリアのフレミントン競馬場では、オーストラリア競馬のみならず、オーストラリアにおいては「国民的行事」ともいえる、メルボルンカップ(海外G1、3200㍍・芝)が開催されます。
オーストラリアにとってこの日は「お祭り騒ぎ」どころではありません。メルボルンカップ当日はメルボルンの都市圏はなんと祝日。その為、メルボルンカップは「The Race that stops a Nation(国の動きを止めるレース)」とも呼ばれるほどです。
このメルボルンカップ、日本勢にとっては非常になじみが深いレースとなっています。2006年には日本馬のデルタブルースが1着、2着にはポップロックが入線し海外競馬にて日本馬のワンツーフィニッシュという快挙を成し遂げました。
また、昨年はイギリス調教馬として初めてクロスカウンターが勝利するなど、ここ5年間で遠征馬が3勝。「オーストラリア競馬の祭典」から、非常に国際色豊かなレースに変貌を遂げ始めました。
メルボルンカップを考えるうえで重要なのはやはり「斤量差」ではないでしょうか。かなり極端なハンデ戦であるこのレースは2016年から3年連続で「斤量52キロ以下」が勝利中。斤量54キロ以下の馬がここ10年で15頭。55キロ以下まですそ野を広げれば22頭と、長距離レースなだけに「軽ハンデ馬が有利」なレースであるといえます。
こういった「斤量」の部分にも注目をしつつ、有力出走馬をご紹介します。その前に、まずブックメーカーはどういった評価を下したのか。「bet365」が発表しているオッズをご確認いただきましょう
【メルボルンカップ2019オッズ】
※オッズは3日午前6時現在
<bet365 登録方法>
評価としては1番手となる6.50倍で、やはり注目なのは日本から参戦のメールドグラース(Mer De Glace)でしょう。
日本で重賞を3連勝。その後、オーストラリア競馬初挑戦となったメルボルンカップ出走馬も多く参戦したコーフィールドカップ(海外G1、2400㍍・芝)では、海外遠征にくわえて初の2400mにもかかわらず、1馬身差をつけての勝利。
先ほどご紹介したデルタブルースもこのコーフィールドカップで3着に入線し、メルボルンカップを勝利。日本勢にとっては縁起のいいローテーションと言えるでしょう。また、ルーラーシップ産駒には2017年の菊花賞(G1、3000㍍・芝)を制したキセキがいるように、距離延長という部分に関しては決して悪い方向には出ない可能性が高いのも心強い点です。
斤量は56キロを予定。日本競馬の常識から考えると、そこまで重い負担重量ではないように思えますが、今年の出走予定メンバーの中では2番目に重い斤量であり「見込まれている」と言えるでしょう。
鞍上は今年日本でも大きな話題を呼び、前走でメールドグラースを勝利に導いたD.レーン騎手。
オーストラリアに移籍したブレイブスマッシュや遠征馬トーセンスターダムに騎乗するなど、やはり日本に縁深い騎手。心強い味方になってくれることでしょう。また、自身もグランドスラム達成がかかります。
そんなメールドグラース最大のライバルと目されているのがガリレオ産駒のコンスタンティノープル(Constantinople)。7.00倍は2番手の評価です。
前走のコーフィールドカップでは1番人気に推されるもメールドグラースの前に4着と敗れてしまったコンスタンティノープル。しかし依然高い評価を得ているのは、やはり全兄であるボンダイビーチが長距離に高い適性を見せていたことに加え、負担重量「52.5キロ」というかなりの軽ハンデで出走できるという点でしょうか。これはメールドグラースとは逆に出走馬の中でも2番目に軽い負担重量です。
1キロ違えば1馬身、タイムが0.2秒変わるなどと言われるだけに、3.5キロ差はかなり大きいといえます。
しかし、そういった「斤量差」の意味合いで言えばコーフィールドカップ2着のヴォウアンドディクレア(Vow And Declare)にも注目しなくてはいけない1頭でしょう。オッズは13.00倍となっています。
重賞勝利こそG3の1勝のみにとどまっていますが、そのレースの施行距離は3000mであったことや、2400m以上であれば今のところ4戦2勝2着2回と連対率100%を誇るなど、今回の出走馬の中でも距離実績、勢い共に最上位なのですが、更に斤量が52キロと出走各馬の中でも最軽量であり、更に追い風となりそうです。
2018のメルボルンカップ出走組もご紹介していきましょう。
昨年の勝ち馬クロスカウンター(Cross Counter)。こちらは12.00倍。
今年の初戦となったドバイゴールドカップ(海外G3、3200㍍・芝)こそ勝利を収めましたが、欧州で最強の長距離馬とも言われるストラディバリウスに敗れる形となった2走前、3走前。さらに、ストラディバリウス不在の前走、アイルランドセントレジャー(海外G1、2800㍍・芝)では、勝ち馬から4馬身ほど遅れた4着と今年はやや苦戦。
加えて、昨年は51キロでの出走でしたが今年は57.5キロと6.5キロ増。評価が据え置きになってしまうのも致し方がない面もあるでしょうか。
むしろ、昨年参戦組で今年も注目を集めているのは4着であったフィンシュ(Finche)でしょうか。8.50倍は3番手評価となります。
2017年にフランスでデビュー。重賞を2勝したのちに2018年オーストラリアへ移籍してきた同馬。今年は9月からコンスタントに使い込まれつつも重賞初勝利を挙げるなど、着々と力をつけています。
前走のコーフィールドカップも5着と善戦。むしろ、4着のコンスタンティノープルとクビ差であったことを考えれば、昨年の距離実績からも注目を集めることに異論はありません。斤量も、昨年と同じ54キロとなっています。
もう1頭ご紹介しておきましょう。ここ最近結果を残している2つの要素「遠征組+軽ハンデ」で注目を集めているのが、52.5キロで出走することとなるアイルランドのイルパラディーゾ(Il Paradiso)。オッズは13.00倍です。
重賞は未勝利ですが、3000m以上での勝利実績もありこの斤量。更には近年強い欧州遠征組ということで注目を集めているようです。
ここでもし、メールドグラースが勝利すれば、今年のオーストラリア三大競走はすべて日本勢が制するということに。果たしてどのような結果が待ち受けているのか。メルボルンカップは、11月5日(火曜日)発走予定です。