アメリカの3月の風物詩といえば、このNCAAバスケットボールトーナメントでしょう。
アマチュアスポーツでありながら全米の注目を強烈に集め、圧倒的なまでの盛り上がりを見せる狂気の大会がまもなく始まろうとしています。2019年のNCAAバスケットボールトーナメントは3月19日にスタートします。
1934年に設立され、スポーツのみならず政治関係のオッズにも対応、日本向けにも特別オプションが準備されるなど幅広いオッズが用意されているイギリスの老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
全米を熱狂の渦に巻き込む驚異のアマチュアバスケットボール
毎年3月から4月にかけて開催されるこのNCAAバスケットボールトーナメントは全米を熱狂の渦に巻き込むことから、マーチ・マッドネス(3月の狂気)とも呼ばれる一大スポーツイベントです。
この大会は全米にあるカンファレンスを勝ち抜き、トーナメントに進出した68校が勝ち残り式で雌雄を決していきます。出場校のうち31校は各カンファレンスの優勝校。残りの38校はNCAAが任命する選定委員会によって、成績優秀校の中から一般選出される形式となっています。
アマチュアスポーツであるもののその注目度や収益の巨大さはそこらのプロスポーツをもはるかに凌ぐほどで、このマーチ・マッドネスの放送権料は毎年7億7000万ドル(約816億円)にまでのぼります。日本の甲子園の人気ぶりをさらに巨大化したものといったところでしょうか。
八村は全米最高クラスの活躍でレギュラーシーズン制覇に貢献
八村塁はウェストコースト・カンファレンスで優勝を遂げ、ゴンザガ大学で中心選手として活躍。1試合平均20.6得点を挙げ、見事カンファレンスの年間最優秀選手に選ばれました。
ゴンザガ大学の所属するウェストコースト・カンファレンスはそのレベルの高さでも知られており、多くの人材を輩出。八村のそれに続くとみられており、NBAドラフトでも1位指名はもちろん、全体10位での指名もありうるというほどにその評価を高めています。
優勝候補筆頭はスター軍団デューク大!八村のゴンザガ大も2番手につける
【NCAAバスケットボールトーナメント2019優勝オッズ】
※オッズは14日午前10時現在
<ウィリアムヒル 登録方法>
ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表した、2019年のNCAAバスケットボールトーナメントの優勝候補筆頭に挙げられたのはデューク大学(デューク・ブルーデビルス)。スーパースター軍団として高い人気を集める強豪が3.50倍で最高オッズとなりました。
2番手は八村塁を擁するゴンザガ大学(ゴンザガ・ブルドッグス)で6.00倍。2017年以来の決勝進出、そして悲願の初優勝を狙います。
3番手はこちらも優勝未経験のバージニア大学(バージニア・キャバリアーズ)で7.00倍。この3チームが優勝戦線をけん引することとなるでしょう。
4番手タイはテネシー大学(テネシー・ボランティアーズ)とノース・カロライナ大学(ノース・カロライナ・ターヒールズ)で11.00倍、6番手タイはケンタッキー大学(ケンタッキー・ワイルドキャッツ)とミシガン州立大学(ミシガンステート・スパルタンズ)、8番手はミシガン大学(ミシガン・ウルヴァリンズ)で15.00倍となっています。
【NCAAバスケットボールトーナメント2019トーナメント表】
※18日午前10時更新。抽選会「セレクション・サンデー」は現地17日に行われました。
史上最高クラスの逸材の出場可否がデューク大学の優勝を左右する
NBAドラフト1位指名候補を数多く擁し、まさにスター軍団として優勝を目指すデューク大学。その中でも筆頭株にして弱冠18歳のザイオン・ウィリアムソンがナイキのシューズを破壊して怪我を負った際には大きな論争の的となり、レブロン・ジェームズやチャールズ・バークレーといった超大物たちも言及。そもそも彼はマイケル・ジョーダンやレブロン・ジェームズさえも凌ぐ超逸材とされていた選手なだけに、この事故によってナイキの株価が大幅に下落するほどの騒動となりました。
2月20日の負傷以来試合には出場しておらず、トーナメント出場も危ぶまれているザイオン。彼の圧倒的な評価はすでに確立されており、NBA関係者からはこれ以上怪我のリスクのある出場を控えることを願う声も出ていますが、彼がいるのといないのとではデューク大学の優勝確率は大きく変動するはず。ファンとしても、ぜひ彼の大学最後の雄姿を見たいことでしょう。
NBA大注目の八村は、その名をNCAAの歴史に刻み込むことができるか
ゴンザガ大学は今シーズン29勝2敗と圧倒的な数字を残し、レギュラーシーズンを終えました。その評価は非常に高く、AP通信とコーチ協会がそれぞれ定期的に発表する大学ランキングにおいて、ともに1位を獲得するほど。オッズではデューク大学に次ぐ2番手となっていますが、専門家の評価ではデューク大学をしのいでいることがわかります。
そんなゴンザガ大学の中でも八村の存在感はまさに別格。2つある全米年間最優秀選手賞のうち、名門UCLAを率いた名将の名を冠した「ジョン・ウッデン賞」では最終候補の15人入りし、バスケットボールの考案者の名を冠したもう一つの「ジェームズ・ネイスミス賞」でも最終候補(4人)の一歩手前であるベスト10入りを果たしており、まさに全米屈指の逸材との評価を受けているといっていいでしょう。
八村はゴンザガ大学初の、そして日本人として初のNCAAトーナメント制覇を果たし、NBA入りに向けて大きなアピールをすることができるのか、注目です。
文武両道の名門校バージニア大学はかつての栄光を超える活躍に期待
第3代アメリカ合衆国大統領トマス・ジェファーソンによって創立された長い歴史を持ち、現在もアメリカ屈指の高等教育機関として知られているバージニア大学。
そのキャンパスは世界遺産にも登録されているほどの名門校ですが、バスケの世界では1980年代の全盛期にファイナルフォーに2度進出した以外は平凡な成績に終始していました。
そんな流れが変わったのは2009年に現在のトニー・ベネット監督が就任してから。2016年ではベスト8に進出するなど、かつての実力を取り戻しつつあります。10年目を迎えるベネット監督のもと、バージニア大学はかつての栄光を超える優勝という結果を求めたいところです。