秋競馬の本格化を告げる瞬き禁止の6ハロン戦、記念すべき第50回目となるスプリンターズステークス(G1、1200㍍・芝)が10月2日に中山競馬場にて行われます。
【スプリンターズステークス2016枠順】(30日午後3時更新)
1-1 ビッグアーサー(牡5、福永祐一・藤岡健一)
1-2 ブランボヌール(牝3、武豊・中竹和也)
2-3 ティーハーフ(牡6、池添謙一・西浦勝一)
2-4 ソルヴェイグ(牝3、田辺裕信・鮫島一歩)
3-5 シュウジ(牡3、川田将雅・須貝尚介)
3-6 ベルカント(牝5、蛯名正義・角田晃一)
4-7 スノードラゴン(牡8、大野拓弥・高木登)
4-8 サクラゴスペル(牡8、横山典弘・尾関知人)
5-9 サトノルパン(牡5、和田竜二・村山明)
5-10 レッドアリオン(牡6、川須栄彦・橋口慎介)
6-11 ダンスディレクター(牡6、浜中俊・笹田和秀)
6-12 レッツゴードンキ(牝4、岩田康誠・梅田智之)
7-13 レッドファルクス(牡5、M.デムーロ・尾関知人)
7-14 ウリウリ(牝6、戸崎圭太・藤原英昭)
8-15 ミッキーアイル(牡5、松山弘平・音無秀孝)
8-16 ネロ(牡5、内田博幸・森秀行)
昨年のスプリンターズステークスは短距離女王ストレイトガールが見事に勝利しました。
【スプリンターズステークス2015(優勝馬:ストレイトガール)】
この勝利により、2014年の新潟競馬場で行われた際を除き、5年間で3番人気以内が4勝を挙げたこととなりました。それだけに勝ち馬に関しては多くの方が“堅い決着”のイメージが強いのではないでしょうか。
しかしその一方で、唯一3番人気以内が勝利しなかった2010年は香港のウルトラファンタジーが10番人気ながらに勝利したことや、昨年も2着にはサクラゴスペル(11番人気)が、3着にはウキヨノカゼ(9番人気)が飛び込むなど、波乱含みの決着も十分にあり得る側面も持ち合わせています。
こういった背景の裏側には、スプリンターズステークスが行われる中山競馬場1200mは、ほかの競馬場とは異なった特殊な形態をしているため、馬自身のコースへの適性や騎手の手腕に依るところが非常に大きいテクニカルなコースであることが挙げられます。
果たして例年通りの手堅い決着となるのか、それとも波乱の結末か?今年も非常に楽しみなメンバーが集いましたが、まずはブックメーカー「bet365」が発表している単勝オッズを確認してみましょう。
【スプリンターズS2016単勝オッズ】
※オッズは29日午前9時現在
ダントツの評価を得ているのが、今年の春のスプリント王・ビッグアーサー(1.90倍)です。
福永祐一騎手が手綱を握るようになってからは盤石の競馬ぶりで2戦2勝。それまで勝ちきれない競馬が続いていたビッグアーサーにとっては正に“馬が合う”といったところでしょうか。
実績面、そして充実ぶりを考えれば、この高い評価も致し方ないところかもしれませんが、そんなビッグアーサーにはひとつ大きな懸念材料があります。
それが「中山コース未経験」という点。
先ほどもご紹介しましたが、中山1200㍍は非常にテクニカルなコースであり、経験がものをいうコースです。それだけに中山コースが未経験ということは大きな不安材料ともいえるでしょう。
ビッグアーサーからはやや離れたオッズにはなりますが、2番手評価を下されているのが高松宮記念2着馬・ミッキーアイル(5.00倍)。
セントウルステークスでひと叩きをして挑むビッグアーサーに対し、ミッキーアイルは高松宮記念からスプリンターズステークスに直行するローテーションを選択しました。
実はミッキーアイルも当初はセントウルステークスを介する予定とのことだったのですが「暑い時期に馬を厩舎に戻さなくてはならないし、セントウルステークスを使えば本番まで中2週の強行軍になってしまう」との理由より回避しました。
また、ミッキーアイルはこれまで挙げた7勝のうち、中山競馬場と同じ右回りで6勝をマークしている事実も見逃せません。
別々の臨戦過程を歩んだライバル同士。果たしてどちらに軍配が上がるのでしょうか。
現・スプリント王ビッグアーサー打倒に燃える他出走馬は、なにもミッキーアイル陣営だけではありません。今年のスプリント路線もといスプリンターズステークスは非常に役者揃いです。
3歳の春シーズンはスプリント戦の番組が非常に少ない為、思うように力を発揮できなかった馬が夏のローカルシーズンの古馬混合戦で活躍することは珍しくないのですが、今年は特にその傾向が顕著に表れていました。
スプリンターズSに向けての大事な前哨戦のひとつである、キーンランドカップ(G3、1200㍍・芝)を勝利したブランボヌール(9.00倍)、そして2着入線のシュウジ(9.00倍)は共に3歳馬。
更に同レースで4着に入線を果たしたソルヴェイグ(21.00倍)も、3歳馬にして今年の6月に行われた函館スプリントステークス(G3、1200㍍・芝)を12番人気ながらに勝利しました。
そしてこの函館スプリントステークスの2着入線馬も、先ほど名前を挙げたシュウジだったことを考えれば、一気の世代交代を予期させるに十分でしょう。
また、ブランボヌール、ソルヴェイグの2頭は3歳牝馬の為、古牡馬に比べると斤量が4キロ軽い53キロで出走できる点が大きな強みと言えます。
特に高い評価を下されているブランボヌール陣営からは「状態に関しては前走よりもいいぐらい。馬体もパンパンだよ。相手関係がどうかだけど、出来だけは申し分ない」(中竹調教師)と、状態面に自信をのぞかせています。
競馬スタイルは異なれど確かな実力を持っているのが、ネロ(11.00倍)そしてダンスディレクター(11.00倍)の2頭です。
スピードを活かした先行策を得意とするネロと、一瞬の切れ味を信条とするダンスディレクター。
ダンスディレクターに関しては春のシルクロードステークス(G3、1200㍍・芝)においてビッグアーサーを破る快進撃をみせました。
その切れ味が最大限に活かされる場面になれば、この馬が一気に頂点へのぼりつめる可能性もゼロとは言い切れないでしょう。
一方のネロは、重賞勝利こそないものの直近3走はすべて2着と安定感抜群の走りを見せています。
いわゆる「相手なり」の競馬をするタイプではありますが、この夏を休養に充てず敢えて厳しいローテーションでスプリンターズステークスに挑んできたからには、やはり勝利を期してのことでしょう。
こちらも8歳の老兵とはいえ、侮ることが出来ないのが昨年の2着馬サクラゴスペル(67.00倍)。
今年はここまでいいところナシのレースが続いていますが、中山1200㍍戦に限って言えば全成績中6戦3勝2着2回と大得意の舞台。
追い切りの動きこそいまひとつだったものの、敢えて前哨戦を介さずじっくりと放牧から立て直し、スプリンターズステークスにだけ照準を絞ってきているとすれば、厄介な1頭と言えるでしょう。
他にも、夏のスピードキング決定戦アイビスサマーダッシュ(G3、1000㍍・芝)の連覇を果たし、今レースに“引退覚悟”で臨むと意気込むベルカント(12.00倍)。
前走のセントウルステークスではこれまでのスタイルとは一転先行策をとり、いかにも本番に向けた動きを見せた2014年のスプリンターズステークスの覇者スノードラゴン(21.00倍)など。
確かな実力と実績がありながらも意外な不安材料が露呈したビッグアーサー。他のライバルたちも一筋縄ではいかない個性派揃いと、オッズ上だけでは計り知れない要素も多分に含んでいるスプリンターズステークス。発走は10月2日午後3時40分を予定しています。