【ブックメーカー】清崎民喜コラム:アメリカ大統領選で勝つのはヒラリー・クリントンか?ドナルド・トランプか?ブックメーカー発表のオッズから紐解く

アメリカ大統領選を戦うクリントン氏とトランプ氏

次期アメリカ大統領が決まるまであと2週間を切った。「過去最悪」との呼び声が高い民主党のヒラリー・クリントン氏と共和党のドナルド・トランプ氏によるアメリカ大統領選挙の投票は11月8日にいよいよ行われる。

クリントン氏か?トランプ氏か?

アメリカ国内のみならず世界中でどちらが次のアメリカ大統領の椅子に座るのかに注視している。日本でも「クリントンが勝った方が日本にとってはいい」「トランプが大統領になったら日本はこうなる」といった様々な論調が新聞紙面を連日のようににぎわせている。

ベット365どちらが次のアメリカ大統領になるのか?もちろん政治の世界での戦いではあるのだが、世界的に見れば実は一つのエンターテイメントとしてとらえられていることも事実だ。スポーツをはじめ様々な事柄を賭けの対象にしてしまうイギリスを発祥とするブックメーカーは、アメリカ大統領選についてもオッズを提供し、世界中の関心を集めている。

ブックメーカーとは?

【アメリカ大統領選オッズ】
アメリカ大統領選オッズ
※オッズは26日午後2時現在

ブックメーカー「bet365」が発表したオッズによると、クリントン氏勝利が1.16倍、トランプ氏勝利が5.50倍となっており、クリントン氏優勢との見方をブックメーカーは示している。クリントン氏、トランプ氏が各党の大統領候補に決まった時点では両者のオッズは拮抗していたが、ここにきてクリントン氏がトランプ氏との差をグッと広げた格好となっている。

テレビ討論会

9月から10月に渡り合計3回のテレビ討論会が行われたが、この3度のTV討論会を境にして両者の明暗がくっきりと分かれてしまった。このテレビ討論会は「大統領選の行方を左右する」とまで言われるほど影響が大きく、全米での視聴者数は第1回テレビ討論会では過去最多となる8400万人が視聴するなど、アメリカ国民は両候補の大統領としての資質を見極める判断材料にしているのだ。

このテレビ討論会においては、クリントン氏がいずれも勝利したというのが各国メディアの論調だった。テレビ討論での内容の多くは互いの批判合戦に傾倒したことは否めないが、この中でトランプ氏の女性スキャンダルや過去の女性蔑視と取れる発言などがクローズアップされ、第3回テレビ討論会を前にトランプ氏が「クリントン氏は薬物検査を受けるべきだ」と発言するなど応戦したが、有効打とはならなかった。

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CNNの調査によれば、各テレビ討論会の支持率は、第1回(9月27日)クリントン:62対27:トランプ、第2回(10月10日)クリントン:57対34:トランプ、第3回(10月19日)クリントン:52対39:トランプといずれもクリントン氏が勝利している。ただし、回を追うごとにトランプ氏の支持が高まっていることにも注意しなければならない。

ヒラリー・クリントン氏

10月23日に発表された両候補の支持率は、クリントン氏が47.9%、トランプ氏が42.0%と5ポイント以上の差となっている。7月28日の調査ではクリントン氏が44.7%、トランプ氏が45.6%と、クリントン氏のメール問題を攻め立てたトランプ氏が支持率で上回っていた。テレビ討論会がスタートする前までは両者の支持率は拮抗していただけに、トランプ氏のテレビ討論会で支持を失ったと言わざるを得ないだろう。

アメリカ大統領選の数字“オッズ”を読む

アメリカ大統領選(本選挙)は現地11月8日に行われるが、日本の国政選挙などと仕組みが異なるために若干わかりにくい部分もあるので、簡単に説明しておきたい。

まずは有権者が州ごとにどちらの候補を支持しているかを表明している選挙人と呼ばれる人を選ぶために投票を行う。すなわち、クリントン氏を大統領にと考えている有権者は、クリントン氏を支持する選挙人に投票するわけだ。そして、その獲得した票数が多い方が州ごとに割り当てられた選挙人の総数をすべて獲得できる「勝者独占方式」によって、州ごとに民主党(クリントン氏)・共和党(トランプ氏)のどちらかを支持するということになる。選挙人の総数は全米で538人なので、その過半数である270人以上を獲得した候補が次の大統領に選出されるということになるのだ。

アメリカの有権者はどちらを大統領に選ぶのか?

10Bet ロゴつまり、州ごとに白黒がハッキリとついて、最終的には獲得した選挙人の数で勝敗が決するというわけだ。ブックメーカー「10Bet」は州ごとの勝敗に着目したオッズを発表している(ワシントンDCも含む)。「共和党がいくつの州で勝利するのか?」というものだ。アメリカには現在50の州があるので、そのうちいくつの州で勝利できるかは重要な数字の一つである。

【アメリカ大統領選「共和党は何州で勝利するか?」オッズ】
アメリカ大統領選「共和党は何州で勝利するか?」オッズ
※オッズは26日午後2時現在

共和党、すなわちトランプ氏を支持する州がいくつになるかを予想するオッズだが、20~21州および22~23州で勝利するが3.10倍と最有力となっている。50州あるうちの半数も取れないだろうとの見方だが、選挙人の数は各州によって異なっており、例えば最も選挙人が多いカリフォルニア州は55人に対して、アラスカ州などは選挙人の数はわずかに3人という州もある。したがって、勝利した州が多いことが必ずしも大統領へというわけではないのだ。

【アメリカ大統領選州ごとの選挙人数】
アメリカ大統領選州ごとの選挙人数
※「Wikipedia」より抜粋

そして最も大事なのが選挙人を何人獲得できるか?ということだ。両候補ともに選挙人の多い州で出来るだけ多く勝つことが重要なポイントになるわけだが、この選挙人をどれだけ獲得できるかについてもブックメーカー「10Bet」が発表している。

【獲得できる選挙人の数は?オッズ】
獲得できる選挙人の数は?オッズ
※オッズは26日午後2時現在

オッズによると、民主党(クリントン氏)が350~369人の選挙人を獲得するというオッズが最有力の4.20倍となっている。僅差で民主党が330~349人の選挙人を獲得するオッズが4.35倍と続いており、以降上位7番目までは民主党が占めている。初めて共和党が出てくるのが8番手で、それも共和党が270~289人の選挙人を獲得するというもので13.00倍のオッズとなっている。過半数が270人なので共和党が勝つときは辛勝という見方が強いと見ていいだろう。

ドナルド・トランプ氏

クリントン氏が大統領になる、という結果だけでなく、ではどのようにして勝つのか?もしくは負けるのか?という“過程”を予想して楽しめるのがブックメーカーの醍醐味の一つと言えるだろう。また、ブックメーカーのオッズは最も中立的な数字ともいわれており、またブックメーカーとしてはオッズを付け間違うと大損を食らう羽目になるので、その道の専門家が十分な調査の上で数字をはじき出している。したがって、アメリカ大統領選の流れを読む時の一つの指標と十分になりえるだろう。

ただ、ブックメーカーも神ではないのでミスもある。スポーツの話になるが、昨シーズンのサッカーの英プレミアリーグ優勝予想で、日本代表ストライカー・岡崎慎司所属のレスター・シティにブックメーカーは当初5001倍という破格のオッズを提示したために、数十億円の損出を生んだことは以前私がコラムで述べた。

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ブックメーカーが提示するオッズをどう読み取るのかは、あなた次第というわけだ。最後に、11月8日の大統領選挙の投票率についても、ブックメーカー「10Bet」が発表しているので紹介しておこう。最有力は54%~57.99%で3.00倍、僅差で58%~61.99%で3.10倍となっており、60%前後になるのではとブックメーカーは見ているが、あなたはどう見るか?

【アメリカ大統領選投票率オッズ】
アメリカ大統領選投票率オッズ
※オッズは26日午後2時現在

2017年1月20日、大統領就任式にやってくるのはクリントン氏か?それともトランプ氏か?世界が注目する次のアメリカ大統領選挙は11月8日に投票が行われる。

握手を交わすクリントン氏とトランプ氏