競馬ファンの中には、今週末が1年の競馬の中で最も楽しみだという方も多いのではないでしょうか?とうとう3歳クラシックの大一番である東京優駿こと日本ダービー(G1、2400㍍・芝)が東京競馬場で開催されます。
昨年のダービーにおいては確たる主役級が何頭か存在しましたが、今年は皐月賞の結果をご覧いただいてもわかるように未だ大混戦と言って過言ではないでしょう。
【皐月賞2017(勝ち馬:アルアイン)】
確かに、勝利したアルアインは単勝オッズ22.4倍の9番人気と、低評価ではありましたが忘れてならないのがディープインパクト産駒であったという点。
「難解で、荒れた皐月賞だったが終わってみればディープインパクト産駒が勝利していた」という、まさに現代競馬におけるディープインパクト全盛期を感じさせる一戦でした。
とはいえ、ダービーは様相が一気に変わります。3歳の牡馬においてあくまで『最大の目標』として目されているのはダービーであることがほとんどです。
例えば、昨年惜しくもハナ差2着に敗れたサトノダイヤモンドは、元々皐月賞は余裕残しの馬体で出走。皐月賞は「ダービーに向けてのステップ」として考えていた陣営です。
また、敢えて皐月賞を目指すことなく、自己条件戦やトライアルを介して万全の態勢でダービーの栄冠をつかみ取ろうとする陣営も存在します。馬の力ももちろんですが、ことダービーにおいてはそういった『戦略面』も注目せねばならないでしょう。
【日本ダービー2017枠順】※25日午後3時更新
1-1 ダンビュライト(牡3、武豊・音無秀孝)
1-2 アメリカズカップ(牡3、松若風馬・音無秀孝)
2-3 マイスタイル(牡3、横山典弘・昆貢)
2-4 スワーヴリチャード(牡3、四位洋文・庄野靖志)
3-5 クリンチャー(牡3、藤岡佑介・宮本博)
3-6 サトノアーサー(牡3、川田将雅・池江泰寿)
4-7 アルアイン(牡3、松山弘平・池江泰寿)
4-8 トラスト(牡3、丹内祐次・中村均)
5-9 マイネルスフェーン(牡3、柴田大知・手塚貴久)
5-10 ベストアプローチ(牡3、岩田康誠・藤原英昭)
6-11 ペルシアンナイト(牡3、戸崎圭太・池江泰寿)
6-12 レイデオロ(牡3、C.ルメール・藤沢和雄)
7-13 カデナ(牡3、福永祐一・中竹和也)
7-14 ジョーストリクトリ(牡3、内田博幸・清水久詞)
7-15 ダイワキャグニー(牡3、北村宏司・菊沢隆徳)
8-16 キョウヘイ(牡3、高倉稜・宮本博)
8-17 ウインブライト(牡3、松岡正海・畠山吉宏)
8-18 アドミラブル(牡3、M.デムーロ・音無秀孝)
また、今年のダービーは2つの『名門厩舎』が大きなカギを握っています。
この2厩舎の動向を中心に紐解いていきましょう。
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【日本ダービー2017オッズ】
※オッズは24日午前8時現在
まず注目したいのは、今年の皐月賞において管理馬がワンツーフィニッシュを飾った日本が誇る名門『池江泰寿厩舎』の3頭。
今年のダービーにおいて最も注目しておかねばならない陣営であると言えます。その中でも筆頭といえるのは、皐月賞馬アルアイン(6.00倍)でしょう。アルアインはもちろんのこと、松山弘平騎手にとっても嬉しいG1初勝利となりました。
ただしアルアインは2000mの距離で行われる皐月賞においても「距離不安」が囁かれていた一頭だけに、2400mの東京優駿をこなすことが出来るのかが大きなカギになってきます。
先週行われた優駿牝馬において2着に入線したモズカッチャン。その父はハービンジャーでしたが、皐月賞2着からダービーへ挑むペルシアンナイト(7.00倍)の父も同じくハービンジャーです。
ただしこちらも皐月賞前の主戦場が1600~1800mだっただけに、2400mという距離をどのようにこなすという点。そこに加えて今回はM.デムーロ騎手から戸崎圭太騎手に乗り替わる点もポイントとなります。
そしてここにもう一頭池江厩舎から、きさらぎ賞、毎日杯と連続2着の実績を残した超良血サトノアーサー(7.00倍)がダービーに駒を進めることとなります。
父はディープインパクト。母であるキングスローズはニュージーランドやオーストラリアで重賞6勝を挙げた名牝であり、2015年のセレクトセールにおいて4番目の高額購入となる19,500万円で落札されました。
賞金額的には皐月賞へ出走することも可能だったにもかかわらず、敢えてダービー一本に絞ってきたことを考えると、所有者であり、昨年本当にあとわずかな差で日本競馬最高の栄誉を手にしかけた里見治オーナーの並々ならないダービーへの思いが伝わってきます。
「皐月賞でワンツーだったなら、日本ダービーは表彰台独占」という池江調教師の言葉からも、上記の3頭に対する期待の高さがうかがえます。
そんな池江厩舎に負けず劣らずの有力馬揃いなのが音無秀孝厩舎です。
その音無厩舎を代表する出走馬といえば、やはり今年の青葉賞(G2、2400㍍・芝)を驚愕のパフォーマンスと共にレコードタイムで勝利したアドミラブル(3.25倍)の存在です。
また「皐月賞において2着に入線したペルシアンナイトではなく、M.デムーロ騎手がアドミラブルを選択した」という部分も大きなターニングポイントといえるでしょう。
ですが、3月からここまでダービーを目指すために3戦。しかも2400m戦を2回戦い抜いていることを考えれば、適性面では申し分ないものの見えない疲れや調整の難しさも内包している一頭と言えます。
更には皐月賞においては12番人気ながら3着に入線したダンビュライト(18.00倍)や、逆に皐月賞では最下位に敗れ去ったものの、きさらぎ賞を制したアメリカズカップ(101.0倍)など、音無厩舎も池江厩舎に負けず劣らずのラインナップでダービーを狙います。
出走全18頭の内、3分の1にあたる6頭が上でご紹介した厩舎の管理馬で埋まってしまう中、残りの12頭の中にももちろん楽しみな馬が散見されます。
皐月賞に関しては、馬体のアクシデントなどもあったがためにホープフルステークス(G2、2000㍍・芝)から直行するローテーションとなってしまったレイデオロ(6.00倍)。
ですが今回は直前調教でも良い動きを見せ、一戦使ったことによる上積みを十二分に感じることが出来ます。
また、青葉賞と同じくトライアルレースに指定されているプリンシパルステークス(OP、2000㍍・芝)を制したダイワキャグニー(21.00倍)も穴っぽいところではありますが要注意でしょう。
皐月賞時点で2勝していた同馬。皐月賞を狙うことも可能でしたがそれでも陣営はプリンシパルステークスへ駒を進め、見事に勝利します。これで同馬は4戦3勝。3勝全てが東京コースと、今回の出走馬屈指の東京巧者と言えます。
その他にも、皐月賞トライアルを快勝しながら結果を残しきれなかったウインブライト(41.00倍)やカデナ(15.00倍)。皐月賞では2番人気に推されながらも6着と力を発揮しきれなかったスワーヴリチャード(6.00倍)なども巻き返しを誓います。
全てのホースマンが夢見る、全競走馬にとって一生に一度しかない夢舞台日本ダービー。
発走時刻は28日15:40を予定しています。