日本馬が何度も跳ね返されてきた“凱旋門の壁”を今年こそ打ち破ることが出来るだろうか?昨年、一昨年と2着に甘んじてあと一歩その栄冠に手が届かなかったオルフェーヴルの無念を晴らすのはジャスタウェイ、ハープスター、それともゴールドシップなのでしょうか?
昨年のロンシャン競馬場には約5800人の日本人ファンが駆け付けた第93回凱旋門賞(G1、2400㍍・芝)が、日本時間の5日午後11時30分に発走します。世界的にも最も注目度の高いこのレースの気になるオッズはどうなっているのでしょうか?英国のブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表していますので見てみましょう。
日本馬3頭が上位人気となっていますね。世界的に見ても日本馬の強さが注目されている証拠なのではないでしょうか?そのことを最も知らしめたのが3番人気の福永祐一騎乗のジャスタウェイ(牡5)でしょう。3月29日に行われたドバイデューティーフリー(G1、1800㍍・芝)では他馬を圧倒する勝ちっぷりを見せ、ワールドベストホースランキングで見事1位に輝きました。
【ドバイデューティーフリー2014(優勝:ジャスタウェイ)】
続く6月8日の安田記念(G1、1600㍍・芝)も勝って3度目のG1制覇を果たしました。今回の凱旋門賞には約4か月ぶりの休み明けでのぶっつけ本番の出走となります。海外G1で5勝挙げている福永騎手は「こういう強い馬で挑めるのはなかなかないこと。勝つところをお見せできると思う」とコメントし、日本馬初となる凱旋門賞制覇に自信を見せていました。
しかし、世界No.1馬のジャスタウェイにも2つの不安があります。一つは距離適性の問題です。ジャスタウェイがこれまで勝ったレースは1600㍍~2000㍍で、2400㍍では2012年の日本ダービーに出走して11着と結果を出すことができていません。また、約4か月振りのレースというレース間隔が懸念されます。過去20年で、長期休養明けで凱旋門賞を勝った馬は1995年のラムタラ(7月22日以来のレース)のみで、ラムタラでも2か月半空いてのレースでした。この2点がどう出るかが不安であり、一方で楽しみでもあります。
同じく3番人気のハープスター(牝3)にも期待がかかります。川田将雅騎乗のハープスターは今年の桜花賞(G1、1600㍍・芝)を得意の逃げ切りで勝利し、オークスでは2着でした。休養明けで挑んだ8月24日の札幌記念(G2、2000㍍・芝)ではゴールドシップ(牡5)の猛追を振り切って勝利し、渡仏しました。
【札幌記念(優勝:ハープスター、2着:ゴールドシップ)】
これまで7戦5勝のハープスターには大きな強みがあります。それは3歳牝馬に許される54.5キロという斤量です。ジャスタウェイやゴールドシップら古馬は基本的に59.5キロという斤量を背負うので、その差は5キロと断然有利です。昨年の凱旋門賞馬のトレヴも3歳牝馬で勝利しました。ディープインパクトの子で距離にも不安はないと思われ、マンマと逃げ切ってのVも十分あり得るのではないでしょうか?
G1で5勝と最もキャリアがあるゴールドシップは6番人気に押されています。どちらかと言えばジャスタウェイとハープスターの陰に隠れている感じがしますが、6月29日の宝塚記念(G1、2200㍍・芝)では史上初となる連覇を成し遂げています。横山典弘を鞍上にして葦毛馬が躍動すれば、ロンシャン競馬場を最も沸かせるレースをする可能性も十分あるのではないでしょうか。
3頭の日本馬には強力なライバルがいます。
まずは、1番人気のタグルーダ(Taghrooda、英牝3)でしょう。ポール・ハナガン騎手が騎乗します。今年の英オークス(G1、約2,423㍍・芝)を無傷の3連勝で制すると、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1、2400㍍・芝)も制して“凱旋門賞優勝候補筆頭”にまで評価を高めました。
【英オークス2014(優勝:タグルーダ)】
英国女王がタグルーダならば、仏国女王は3番人気のアヴニールセルタン(Avenir Certain、仏牝3)でしょう。親日派でも知られるクリストフ・ルメール騎手が騎乗します。ロンシャン競馬場で行われた仏1000ギニー(G1、1600㍍・芝)、仏オークス(G1、2100㍍・芝)の2冠を達成し、これまで6戦6勝といまだ負け知らずの強さを見せています。「(凱旋門賞を勝つ)いいチャンスだ。これまで凱旋門賞は勝ったことがないから勝ちたい」とコメントし、ルメール騎手は母国フランスの期待を背負いながら自信を持ってレースに挑みます。
JRAでも11勝を挙げているグレゴリー・ブノワ騎手が騎乗するエクトー(Ectot、仏牡3)にも注目です。今年のクラシック最有力候補と呼び声が高く、爆発力が売りのエクトーですが、春先からケガで休養を余儀なくされました。しかし、9月のニエル賞(G2、2400㍍・芝)で見事復活Vを果たし、父親であるハリケーンラン同様に「ニエル賞V→凱旋門賞制覇」といきたいところでしょう。
この数戦勝てていないために評価を下げている昨年の優勝馬であるトレヴや、ルーラーオブザワールドにもチャンスはあるのではないでしょうか。ただ、今年は3歳馬が強さの上でも、斤量の優位性を見ても勝つのではないかなと個人的には思っています。
日本競馬界の悲願達成はなるでしょうか?
【凱旋門賞2013(優勝:トレヴ)】