世界競馬で1、2位を争う高額賞金と世界中から強豪馬がアメリカに集まる「ブリーダーズ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップ2015」(ブリーダーズカップ2015)が現地時間の30日と31日にケンタッキー州レキントンのキーンランド競馬場で初開催されます。
同レースを主催するブリーダーズカップ協会のビル・トーマソン理事長は「キーンランド競馬場のスタッフは、ブリーダーズカップとの繋がりと歴史を感じており、競馬ファンに素晴らしい競馬とエンターテインメントを体験してもらうことを楽しみにしています」との声明を出し、これまでにはなかった3年先の開催場所と日程も発表しました。2016年はサンタアニア競馬場で11月4日と5日、2017年はデルマー競馬場で11月3日と4日に行われることが決定しています。
ブリーダーズカップは様々なカテゴリーのNo.1決定戦を2日間で一気にやってしまう何とも豪華なビッグレースで、ブリーダーズカップ・ターフとブリーダーズカップ・クラシックの2レースは特に人気が高く、ワールドレーシング・チャンピオンシップの対象レースに指定されています。
今回はイギリスの人気ブックメーカー(スポーツブック)の「bet365」が発表したブリーダーズカップ・ターフとクラシックの2レースについて見ていきたいと思います。なお、その他のブリーダーズカップのレースオッズについては、ブックメーカー情報局の「最新オッズ情報(競馬)」をご参照いただければご確認いただけます。
ブリーダーズカップ・ターフ2015 (発走:日本時間11月1日午前5時50分)
【ブリーダーズカップ・ターフ2014】
ブリーダーズカップ・ターフ(G1、12F、芝)は、芝のアメリカ競馬中距離王者を決めるレースで、フランスの凱旋門賞やイギリスのキングジョージ&クイーンエリザベスステークスなどの勝ち馬なども参戦します。日本馬も過去1度だけ出走した経験があり、2012年にトレイルブレイザー(武豊)が4着となりました。ブックメーカー「bet365」が今年のターフの単勝オッズを発表しましたので見てみましょう。
【ブリーダーズカップ・ターフ2015単勝オッズ】
※オッズは26日午後6時現在
ゴールデンホーン(Golden Horn)が1.50倍で1番人気に押されています。2番手にはファウンド(Found)で4.00倍、3番手にはビッグブルーキトゥン(Big Blue Kitten)とザピッツァマン(The Pizza Man)が13.00倍のオッズで追う展開です。
イギリス最強馬との声も聞かれるゴールデンホーンは、今年の凱旋門賞(G1、2400㍍・芝)を2着に2馬身差を付ける圧勝で制しました。今年の英ダービー(エプソンダービー)、エクリプスS、そして愛チャンピオンシップ(いずれもG1レース)も制するなど現在8戦7勝と桁違いの強さを見せつけています。現地時間の24日夜にキーンランドに到着した3歳馬のゴールデンホーンは、デンジャラスミッジ以来となる5年ぶりにイギリスに勝利をもたらすことはできるのでしょうか。
ファウンドはゴールデンホーン同様に凱旋門賞からの出走となります。凱旋門賞では9着と奮いませんでしたが、その2週間後に行われた前走の英チャンピオンS(G1、10F・芝)では2着と好走しました。これまでのキャリア10戦で3勝とゴールデンホーンの実績にはかないませんが、そのうち凱旋門賞を除く9戦すべて3着以内と抜群の安定感をアイルランドの3歳馬は持っています。今回の戦いではゴールデンホーンにリベンジをと意気込んでいることでしょう。
この2頭を追うのがビッグブルーキトゥンとザピッツァマンです。ビッグブルーキトゥンは29戦14勝と経験豊富な7歳馬で、昨年のメインシーケンスに続きアメリカ馬に同レース優勝の栄誉をもたらすことができるかに期待です。7月のユナイテッドネーションズSと前走9月のターフクラシックSのG1レースを勝利するなど、老いてますます盛んな競走馬とも言えるでしょう。8月のアーリントンミリオンS(G1、10F・芝)でビッグブルーキトゥンに勝利し、悲願のG1初制覇を成し遂げたてザピッツァマンにも注目です。
ブリーダーズカップ・クラシック2015 (発走:11月1日午前6時35分)
【ブリーダーズカップ・クラシック2014】
ブリーダーズカップ・ターフが芝の中距離王決定戦ならば、ブリーダーズカップ・クラシック(G1、10F・ダート)はアメリカのダート中距離王決定戦です。そして、ブリーダーズカップの中でも最も賞金総額が高い500万ドル(約6億円)と破格で、またこれまで31回の大会の中で外国馬の勝利はわずかに2回(1993年の仏・アルカングと2008年の英・レイヴンズパス)とダート王国アメリカが同レースを席巻しています。
スポーツブック「bet365」がブリーダーズカップ・クラシックのオッズを発表しましたので紹介しておきましょう。
【ブリーダーズカップ・クラシック2015単勝オッズ】
※オッズは26日午後6時現在
ダントツの1番人気に挙がっているのが2.50倍のオッズが付いたアメリカンファロア(American Pharoah)です。2番人気はビホルダー(Beholder)で4.50倍、3番手にはトゥーナリスト(Tonalist)で7.00倍、オナーコード(Honor Code)が8.00倍と続いています。
何といってもダントツの強さを見せているのがアメリカンファラオでしょう。ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、そしてベルモントステークスを制して、1978年のアファームド以来37年ぶり12頭目となるアメリカクラシック三冠を成し遂げた馬です。昨年9月のデルマーフューチュリティでG1初制覇を成し遂げると、今年8月のハスケル招待ステークスまでG1レース7勝を含む8連勝で、前走となった8月のトラヴァ-ズSで2着に甘んじたことが大きく報じられました。アメリカ三冠を成し遂げたので、アメリカンファラオに残された冠は「ダート中距離世界No.1」の称号だけでしょう。間違いなくこのクラシックの話題の中心でしょう。
打倒・アメリカンファラオの急先鋒となるのがビホルダーでしょう。20戦15勝の5歳牝馬は、クレメントLハーシュSやパシフィッククラシックSなどG1レース3つを含む5勝負けなしでアメリカンファラオに挑戦します。前走のゼニヤッタS(G1)でも2着に3馬身以上の差を付ける圧勝でその強さを見せつけています。
トゥーナリストは前走となった10月のジョッキークラブ金杯(G1、10F・ダート)で不良馬場ながら2着に4馬身以上の際を付ける圧勝で、ようやく人気にこたえることができたという印象があります。今シーズン出場した5レースすべて1番人気ながら2着、3着が続いていましたが、ようやく最後で本来持っている力が爆発しました。
6月のメトロポリタンHと8月のホイットニーHの両G1レースでトゥーナリストの行く手を阻んだのがオナーコードです。前走のケルソH(G2)では1番人気に押されなが不良馬場に苦しみ3着となり、若干人気を落としている感じはあります。とはいえ、10戦6勝のオナーコードがこの1か月でどれだけ調整できたか楽しみです。