タイガー・ウッズ―米国ツアー歴代2位の通算79勝、メジャー14勝はジャック・ニクラウスの18勝に次ぐ記録を持っている現役最強のプロゴルファー―がかつて経験のない苦境に立たされています。
一方、松山英樹は先週行われた米国男子ゴルフツアー「ウェスト・マネジメント・フェニックスオープン」で2位タイとなり、日本時間の3日に発表された最新の世界ランキングでは18位から14位へとジャンプアップし、トップ10入りを射程圏内にとらえました。
頂点から下り坂のウッズと、頂点へと上り坂の松山が日本時間の6日午前2時に開幕する米国男子ツアー「ファーマーズ・インシュランス・オープン」でクラブを突き合わせます(@トーリーパインズGC、7569ヤード・パー72)。
ウッズは、松山が2位タイと躍進した「ウェスト・マネジメント・フェニックス・オープン」で、初日2オーバー105位と出遅れると、2日目には自己ワーストの「82」を叩き出し、132選手中最下位で予選落ちしました。
【タイガー・ウッズ「ウェスト・マネジメント・フェニックスオープン」2日目】
昨年8月に行われた全米プロゴルフ選手権以来のツアー出場で多くのファンから復活が期待されましたが、自己ワーストとなる2日間(36ホール)で+13をマークし、期待を大きく裏切りました。
【タイガー・ウッズの36ホールでの最低スコアトップ5】
① 2015年 フェニックスオープン +13
② 2006年 全米オープン +12
③ 1998年 ツアーチャンピオンシップ +11
④ 2011年 PGAチャンピオンシップ +10
⑤ 2010年 クワイルホロウ +9
最新の世界ランキングではトップ50からも転落し、56位まで後退したウッズ。自己ワーストでの最下位の屈辱で、ウッズはブックメーカーからも見放されています。日本語対応のブックメーカー(スポーツブック)の「10Bet」が発表したオッズを見てみましょう。過去7回の優勝を誇る今回の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」の優勝予想オッズでは20位タイとなる51.0倍と、過去米国ツアー3勝のチャーリー・ホフマンや世界ランク70位でツアー2勝のハリス・イングリッシュと同格に扱われています。
【ファーマーズ・インシュランス・オープン優勝オッズ】
※オッズは4日午後5時現在
このウッズのオッズ急落ぶりについて、アメリカはラスベガスのブックメーカー「ウエストゲート・ラスベガス・スーパーブック」のアシスタントマネジャーはESPNの取材にこう答えています。
「タイガーに賭けるベッターはまだ多くいるので、これまで本当は80倍ほどのオッズのところを20倍でとどまっていた。しかし、先週のフェニックスオープンで自己ワーストのスコアで最下位となり、人々のリアクションはネガティブへと変わった。(優勝オッズを)50倍にしてもウッズにベットする人は少ないのではないか」
腰痛、そしてコーチを代えて満を持して復帰戦に挑んだウッズでしたが、期待を大きく裏切る結果で、ブックメーカーも完全にそっぽを向いたかっこうとなっています。メジャーの優勝オッズについても、今の状態なら500倍のオッズとなるだろうとアシスタントマネジャーは話を締めくくっていました。
ウッズの凋落を横目に、グンと評価を挙げているのが松山英樹です。フェニックスオープンではツアー優勝まであと一歩のところまで来ての2位タイと調子を上げてきました。残り129ヤードからのイーグルショットは観客を大いに沸かせました。
【松山英樹「ウェスト・マネジメント・フェニックスオープン」】
そして迎えるファーマーズ・インシュランス・オープンでの世界的評価も登り調子です。「10Bet」が発表した優勝オッズでは、ジョーダン・スピース(13.00倍)、ジェイソン・デイ(15.00倍)、ジミー・ウォーカー(15.00倍)に次ぐ4番人気の21.00倍に松山は支持されています。2013年の全米オープンを制したジャスティン・ローズ(23.00倍)の上をいっています。
松山は予選ラウンド(初日、2日目)をフェニックスオープンで死闘を演じて優勝したブルックス・コプカと、優勝候補筆頭のスピースと同組で回ることが決まりました。この組み合わせも松山への期待の高さをうかがわせるものだと思われます。また、欧州、米国、オーストラリアを除く選手(Top Rest of World)の中で誰が最もいい成績を残すかを予想するオッズでは、松山はジェイソン・デイに次ぐ2番目の5.40倍のオッズがついています。
【Top Rest of World オッズ】
※オッズは4日午後5時現在
昨年の同大会で7位入賞を果たした石川遼は、176.00倍の優勝オッズがついています。ここにきて松山との差をグンとあけられた感がオッズからも読み取ることができます。
今季絶好調の松山は、米国男子ツアー3試合ですでに表彰台へと駆け上がっています。残るは米国男子ツアー2勝目だけです。PGAが発表する本大会のパワーランキング(優勝予想)では5位とこちらも上位に付けている松山は、その期待に応えることができるでしょうか?