日本サッカーの草莽期から数多くの人材を育成し、プロの世界に送り出してきた大学サッカー。
近年もU-21日本代表に多くの選手を送り込むなど、将来の日本サッカーを担う逸材たちがしのぎを削っています。
そんな大学サッカー最大の舞台の一つが、この全日本大学サッカー選手権。ブックメーカー「bet365」が金のひな鳥たちの集う大会のオッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
【全日本大学サッカー選手権2018オッズ】
※12日開催の6試合については「bet365」からオッズが発表されました(12月12日)。「bet365ホームページ」からSoccer→Rest of the World→Japan University Championshipで確認できます。
<「全日本大学サッカー選手権2018最新オッズ情報」by bet365>
大学サッカーの最高峰、全日本大学サッカー選手権
今年で67回を数える全日本大学サッカー選手権。JFA(日本サッカー協会)と全日本大学サッカー連盟が主催するこの大会はインカレ(インターカレッジ)とも呼ばれ、大学サッカー日本最強を決める戦いです。
会場は関東圏に広くまたがっており、Jリーグクラブの本拠地もShonan BMWスタジアム平塚とNACK5スタジアム大宮の2か所のほか、決勝の舞台として浦和レッズの準本拠地である浦和駒場スタジアムが使用されます。
参加チームは東北、北信越、中国地方から1チームずつ、北海道、四国から2チームずつ、東海、九州から3チームずつ、関西から4チーム、関東から6チームの23チームに総理大臣杯優勝チームを加えた24チーム。
12月12日の1回戦からスタートし、12月22日の決勝戦まで熾烈な戦いを繰り広げます。
インカレで過去最多の優勝回数を誇るのは名門・早稲田大学。1924年に創設された、日本サッカーを支えた数々の名選手を輩出し続けている強豪が12回の最多優勝記録を保持しています。
続いて9回の筑波大学、8回の中央大学、6回の駒澤大学と、卒業生でイレブンを組んだら歴代屈指の日本代表チームが出来上がるのでは、とさえ思わせる面々。
近年はユースチーム育ちの選手が増えてきましたが、大学サッカーは高校サッカーと並んで長きに渡って日本サッカーの人材を育成し続けてきました。
その最高の舞台がこのインカレ。まさに、次世代の日本サッカーを担う新鋭たちがしのぎを削ってきた戦場と呼ぶことができるでしょう。
2017年は流通経済大学が3大会ぶりに大学サッカーの頂点に立つ
2017年大会を制したのは関東地区代表の流通経済大学。関西学院大学を破った2014年に続き、3大会ぶり2回目の優勝を果たしています。
決勝戦で対戦した法政大学は総理大臣杯優勝チームとして大会に出場。1976年以来となる3回目の優勝を期して戦いに臨みましたが、2007年に続く決勝敗退で歴代最多9回の準優勝記録となりました。
2017年の流通経済大学といえば、なんといってもそのゴールキーパーのレベルの高さが挙げられるでしょう。
1年生時にスタメンに抜擢され、U-21日本代表にも名を連ねる日本期待の大型ゴールキーパー、オビ・パウエルオビンナ(当時2年生、ナイジェリアと日本のハーフ)がゴールを守っていましたが、インカレの舞台では4年生の新井栄聡が長年煩わされていた怪我を克服し、ポジションを奪取。
チームを優勝に導く活躍で清水エスパルスとの契約を勝ち取っています。
窮地のJ1名古屋を救ったエースが早稲田を再び頂点に導くか
歴代最多のインカレ優勝回数を誇り、直近でも2012年に優勝を果たしていた早稲田大学。
関東1部リーグでも2015年に優勝を勝ち取りましたが、その翌年に22位と低迷し、まさかの降格の憂き目にあいました。
しかし、そこはさすがの伝統校。関東2部で優勝し、きっちりと1年での昇格を達成。そしてさらには昇格1年目で関東1部リーグも制覇し、名門復活を印象付けています。
3年ぶりとなるインカレで注目したいのはJ1名古屋グランパス入りが内定しているMF相馬勇紀と、同じくJ2町田ゼルビア入りが内定しているMF岡田優希のダブルエース。関東1部優勝を決めた最終戦でもそれぞれゴールを挙げ、チームを勝利に導いています。
特に相馬は名古屋の特別指定選手として11月6日のセレッソ大阪戦に出場し、1-0で勝利する決勝ゴールを決めました。
名古屋はここで相馬が救った勝ち点3がなければJ2に落ちていました。相馬は入団前から名古屋の救世主と呼べるほどの活躍を見せたといえるでしょう。
復活を期すJ1のかつての名門への加入を控え、まずは完全復活を目指す大学サッカー屈指の名門をインカレの頂点の座に再び戻すことが期待されています。
五輪代表2年生とJ加入決定4年生のFWコンビが法政にゴールを積み上げる
昨年度のインカレでは決勝戦で流通経済大学と対戦し、1-5とまさかの惨敗を喫した法政大学。今年こそ1976年以来の優勝を達成し、昨年の屈辱を晴らしたいところでしょう。
法政大学で2年生ながらエース級の活躍を見せる上田綺世は東京オリンピック世代のU-21日本代表でも主軸選手としてプレー。
鹿島アントラーズのジュニアユースからユースに昇格できず、鹿島学園高校を経て法政に入学した苦労人は古巣の鹿島から練習参加のオファーを受けるなど、Jリーグトップクラブからも熱い注目を浴びる選手に成長しました。
来シーズンのギラヴァンツ北九州加入が決まっている4年生FWディサロ燦シルヴァーノとの強力コンビで、優勝まで相手ゴールをこじ開け続けるはずです。
J1王者川崎が心待ちにする逸材とともに、筑波大学が王座奪還を目指す
早稲田大学に次ぐ歴代2位となる優勝回数9回を誇る筑波大学。2016年には決勝戦で日本体育大学を8-0という圧倒的な大差で破り、優勝を果たしています。
筑波大学の中盤で抜群の存在感を示す3年生の三苫薫は2018年の時点ですでに2020年の川崎フロンターレ加入が内定している超有望株です。
U-21日本代表にも選ばれている2017年の天皇杯ではJ1のベガルタ仙台を相手に2得点を挙げ、チームを大金星に導くなど日本のトッププロを相手にも見事な活躍をすることができることを証明。小学校時代から高校まで下部組織でプレーした川崎のファンからは、その期間を早くも心待ちにされています。
三苫はJ1で2連覇を果たした王者への加入を前に、筑波大学に最高の置き土産をすることができるでしょうか。