アーモンドアイ敗れる。11頭ものG1馬が顔をそろえた、日本競馬1年の総決算となるレースの有馬記念。豪華メンバーの中でもひときわの注目を集めていた同馬があっけなく敗れてしまったその姿は、改めて「競馬の面白さ」と「競馬の怖さ」を十二分に感じ取ることの出来る結果となりました。良くも悪くも、何があるのかわからないのが競馬の本質ということでしょう。
さて、今年の総決算の後も日本競馬界にはもうひとイベント。「来年に向けての重要な試金石」となるレースがあります。それが2017年より中央競馬3個目のG1レースへと昇格した、中山競馬場で開催されるホープフルステークス(G1、2000㍍・芝)です。
【ホープフルステークス2019枠順】
1-1 ブラックホール(牡2、石川裕紀人・相沢郁)
2-2 コントレイル(牡2、福永祐一・矢作芳人)
3-3 ブルーミングスカイ(牡2、田辺裕信・角居勝彦)
4-4 ガロアクリーク(牡2、丸山元気・上原博之)
4-5 ヴェルトライゼンデ(牡2、O.マーフィー・池江泰寿)
5-6 ナリノモンターニュ(牡2、M.デムーロ・上原博之)
5-7 ワーケア(牡2、C.ルメール・手塚貴久)
6-8 クリノブレーヴ(牡2、斎藤新・長谷川浩大)
6-9 パンサラッサ(牡2、坂井瑠星・矢作芳人)
7-10 ディアセオリー(牡2、三浦皇成・高木登)
7-11 オーソリティ(牡2、池添謙一・木村哲也)
8-12 ラグビーボーイ(牡2、北村宏司・勢司和浩)
8-13 ラインベック(牡2、岩田康誠・友道康夫)
※27日午後2時更新
前身的存在である、阪神競馬場で開催されていたラジオNIKKEI杯2歳ステークスのころから、2歳馬たちの出世レースとして位置づけられている本レース。中山競馬場に舞台を移してからも、2017年のダービー馬レイデオロや、今年の皐月賞そして有馬記念でも2着入線を果たしたサートゥルナーリアが勝利するなど、非常に重要な1戦となっています。
今年も、来年の主役候補と呼ばれる東西の注目馬が出走予定ですが、ご紹介へ移る前にまずはブックメーカー「bet365」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【ホープフルステークス2019オッズ】
※オッズは26日午前8時現在
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1番手評価となっているのは、デビューから2戦2勝のディープインパクト産駒、コントレイル(Contrail)。オッズは1.90倍です。
デビュー戦もしっかりと完勝する強い競馬でしたが、圧巻だったのは前走の東京スポーツ杯2歳ステークス(G3、1800㍍・芝)。
セレクトセールで1億8000万円の値がつけられたアルジャンナや、名牝アパパネの子にして圧倒的1番人気で報知杯中京2歳ステークス(OP、1600㍍・芝)の勝ち馬であったラインベックを相手にまるで「次元が違う」とまで言わしめんばかりのレースを見せ、5馬身差圧勝。このレースによって一気に「ダービー候補筆頭」とまで呼ばれる存在となりました。
キャリア2戦ではありますが、デビューが阪神、2戦目は東京コースとしっかり遠征競馬も経験し、実績を残している辺りも好材料。心配な点といえば多頭数のレースが未経験という部分くらいなものでしょうか。
管理するのは有馬記念に管理馬リスグラシューが人馬共に初出走にして初勝利を挙げた矢作調教師。
開業当初から安定した戦績を残し続ける名調教師のひとりではありますが、今年は過去最高の獲得賞金額そして重賞勝利数をマークしており絶好調。勢いそのままに今年最後の中央G1レースも勝ち取れるだけの才能あふれる一頭でしょう。
こちらも2戦2勝、そして圧巻の競馬を見せ続けているワーケア(Wakea)。オッズは3.50倍となっています。
朝日杯フューチュリティステークスを制したサリオスや、3戦3勝で京都2歳ステークスを制したマイラプソディ、新潟2歳ステークスを抜群のキレ味で制したウーマンズハートなど、今年の2歳「ハーツクライ産駒」は非常に豊作なことは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
その中でもデビュー前から特段の注目を浴びていたのがこのワーケア。戦ってきた相手のレベルにやや疑問は残るものの、レースぶりだけを見ればやはりこちらもかなりの大器と予感させるだけのものがあります。美浦所属であり、本レースをハートレーで制した手塚厩舎という点も見逃せません。
上位評価はこの2頭ですが、オッズ的に追随する3頭も非常に面白い存在です。
母母にサートゥルナーリアの母であるシーザリオを持つ良血のオーソリティ(Authority)。オッズは7.00倍となっています。
2戦2勝と負けなしなのはもちろんのこと、この馬におけるアドバンテージはやはり前走の芙蓉ステークス(OP、2000㍍・芝)が、今回のホープフルステークスと同じ舞台であるという点。そのレースぶりも、新馬戦と同様の好位抜け出し。競馬ぶりの安定感は随一の存在であり、かなり完成度の高い1頭と言えるでしょう。
先ほど、コントレイルをご紹介した際にも名前が挙がったラインベック(Rhinebeck)。こちらは8.00倍となっています。
前走の東スポ杯2歳ステークスでは、コントレイルから9馬身離された3着。とはいえ今回はガラリと舞台が変わる1戦。父も三冠馬母も三冠馬。あわせて「G1:12勝」の超良血が、皐月賞と同じ舞台で真価を発揮することとなるでしょうか。
萩ステークスの覇者、ヴェルトライゼンデ(Weltreisende)も非常に楽しみな存在。オッズは8.50倍です。
半兄は今年の有馬記念において3着に入線したワールドプレミア。そしてヴェルトライゼンデの父は、三冠馬オルフェーヴルと同血統にして、中山G1を2勝するなど、中山マイスター的存在であるドリームジャーニー。
関係者からも「これから良くなる馬」と言われている存在ではありますが、現段階の完成度でも十二分に戦えるだけの力は備えているのではないでしょうか。
その他、4か月ぶりの休養明けとはなりますが、ゴールドシップ産駒として初重賞勝利となった札幌2歳ステークス(G3、1800㍍・芝)を制したブラックホール(Black Hole)が15.00倍となっています。
2歳戦ということだけでなく、ご紹介した5頭以外はすべて「1勝馬」。それだけにどんな展開や紛れが起きるかは少々予想がつきづらい部分があります。
今年最後の中央G1レースにして、来年を占う超重要な一戦、ホープフルステークスは12月28日15時30分発走予定です。土曜日の開催となっておりますのでご注意ください。