日本競馬はここから正に春のG1ラッシュ本格化となりますが、海外でもクラシックシーズンがいよいよスタート。
まずはダート界の3歳王者を決める第143回ケンタッキーダービー(海外G1、2000㍍・ダート)、そして第143回ケンタッキーオークス(海外G1、1800㍍・ダート)がチャーチルダウン競馬場で開催されます。
出走馬をご紹介する前に、今年のケンタッキーダービーを迎えるにあたって日本側でも面白い動きがありましたのでご紹介しておきましょう。
日本のクラシックと違い、アメリカのクラシックレースは出走するために「ポイント対象レース」に参加し、出走条件を満たすポイントを獲得しなくてはなりません。
つまり、日本馬がケンタッキーダービーに挑むには、いくら日本で賞金を獲得していようとその対象レースでポイントを獲得する必要がありました。
昨年アメリカ三冠に挑んだラニも、ただ馬主側が決断した訳ではなく、ポイントレースの対象となっているUAEダービー(海外G2、1900㍍・ダート)を制した前提があってのことでした。
しかし、2016年よりJRAにおいても、ケンタッキーダービーを主催するチャーチルダウン競馬場との提携により「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」が開始。
2016年11月26日に行われたカトレア賞(500万下、1600㍍・ダート)及び2017年2月19日に行われたヒヤシンスステークス(オープン、1600㍍・ダート)に、ポイントを設定。
この両レース終了時に最もポイントが高かった馬が、ケンタッキーダービーへの出走権を手にすることが出来るという体制を導入しました。
ちなみに今年は、UAEダービー2着のエピカリスが日本代表としての出走権を得ていましたが、残念ながらケンタッキーダービーは回避し、6月10に行われるベルモントステークスを目指すとのこと。
格段に3歳ダート馬の門戸が開かれたことはとても喜ばしいことです。
来年以降にぜひ期待しましょう。
話がそれてしまいましたが、ここから本題のケンタッキーダービー&オークスについてご紹介します。
日本のクラシック一冠目も中々に荒れた結果となりましたが、どうやらアメリカのクラシック路線も一筋縄では行かない空気が漂っています。
ケンタッキーダービー2017
アメリカ競馬のビッグレースというとブリーダーズカップシリーズを連想する方が多いかと思いますが、それらをしのぐほどの人気と知名度を誇るのがケンタッキーダービーです。
その人気の高さは競馬界のみならず「スポーツの中で最も偉大な2分間」と表現されるほど、スポーツとしての地位を確立しています。
そんな偉大な2分間を制し、世界最高の3歳馬の栄誉を手にするのはどの馬でしょうか。まずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」から発表されているオッズをご紹介します。
【ケンタッキーダービー2017オッズ】
※オッズは1日午前8時現在
<ケンタッキーダービー2017最新オッズ情報(bet365発表)>
ケンタッキーダービー最有力と目されていた4戦無敗G1レース2勝の実績馬マスタリー(Mastery)が、前走後骨折し電撃的な種牡馬入り。
絶対的な主役を失ったアメリカ3歳クラシック路線は、初戦より正に大混戦となりました。
そんな中でも1番手評価である6.00倍に推されているのが、昨年のエクリプス賞最優秀2歳馬に輝いたクラシックエンパイア(Classic Empire)です。
実績面だけで見ればマスタリーとそん色ないだけに、本来であればもっと高評価を得ていても何ら不思議ではないはずです。
ですが、これまでの勝ち方がそこまで圧倒的でないことや、今年初戦のホーリーブルステークス(海外G2、1700㍍・ダート)において8馬身差の3着に敗れている点や、ホープフルステークス(海外G1、1400㍍・ダート)では落馬を経験するなど、印象としてあまり良くない部分があるからこそ、抜けた評価ではないのでしょう。
ホーリーブルステークスにおいて、先ほどご紹介したクラシックエンパイアを破ったのが8.00倍のオッズが付いているアイリッシュウォークライ(Irish War Cry)。
ホープフルステークスの結果によって、同馬も3歳クラシック路線主役級の一頭として名を挙げられるようになりましたが、続くファウンテンオブユース(海外G2、1700㍍・ダート)でまさかの22馬身差を付けられての敗北。
前走のアーカンソーダービー(海外G1、1800㍍・ダート)は貫禄を見せつけたものの、逃げ脚質である同馬の『脆さ』を一度見せているだけに絶対的な信頼を置くのは考えなくてはなりません
実績馬にやや不安な材料もある中、前走の結果で6.00倍と最有力の一頭となったのが、重賞初挑戦でフロリダダービー(海外G1、1800㍍・ダート)を5馬身差で制したオールウェイズドリーミング(Always Dreaming)。しかも走破タイムはレースレコードでした。
ちなみに管理するトッド・プレッチャー調教師は2016年に48歳の若さにして通算4000勝を達成した超が付くほどの名伯楽。
2010年以来のケンタッキーダービー制覇に向けて気合が入ります。
UAEダービーにおいて日本のエピカリスを破ったUAE所属サンダースノー(Thunder Snow)は現在17.00倍。当初の予定であった芝路線から完全にダートへ視線を変え今回アメリカ最高峰のレースへ挑みます。
その他にも、サンタアニタダービー(海外G1、1800㍍・ダート)を制したゴームリー(Gormley)が15.00倍。9戦して重賞3勝と経験豊富なガネヴェラ(Gunnevera)が13.00倍。ダート転向後3連勝中のガーヴィン(Girvin)が15.00倍と、この辺りはほぼ横並びのオッズとなっています。
ケンタッキーオークス2017
牡馬路線に比べると、実績馬が数多く存在する牝馬路線。
まずはブックメーカー「bet365」から発表されているオッズをご覧ください。
【ケンタッキーオークス2017オッズ】
※オッズは2日午前8時現在
<ケンタッキーオークス2017最新オッズ情報(bet365発表)>
当初、今年のケンタッキーオークスの最有力として挙がっていたのは重賞3連勝中のユニークベラ(Unique Bella)でした。
ところが、そんなユニークベラが怪我で戦線を離脱。
離脱後、相対的に高い評価を得ることになったのは9.00倍となっているアベルタスマン(Abel Tasman)。2歳G1であるスターレットステークスを制した実績を持っているだけでなく、サンタイサベルステークス(海外G3、1700㍍・ダート)ではユニークベラに次ぐ2着入線でした。
ユニークベラに最後までくらいついている点ももちろん見どころがあるのですが、それ以上に3着以下を8馬身ほど引き離している点が注目されるべき部分。非凡な力を見せつけていました。
もう一頭の有力馬、ユニークベラと同じく重賞3連勝を挙げていた5.50倍のミススカイウォーリアー(Miss Sky Warrior)と共に、ケンタッキーオークスにおける中心的存在はこの2頭だろうと考えられていた矢先のこと。
2頭をも凌駕する逸材が、4月の上旬に行われたサンタアニタオークス(海外G1、1700㍍・ダート)において衝撃的な登場をします。
それが、パラダイスウッズ(Paradise Woods)です。
【サンタアニタオークス2017(勝ち馬:パラダイスウッズ)】
本レース、1.9倍と圧倒的一番人気に推されていたのは、先ほどご紹介したアベルタスマン。
しかし、ふたを開けてみれば重賞初挑戦のパラダイスウッズが余裕の圧勝劇。結果、構図は一気に塗り替えられブックメーカーのオッズも3.00倍で最も高い評価を得ることとなりました。
その他、今年重賞2勝を挙げているファーレル(Farrell)が5.50倍、ガルフストリームパークオークス(海外G2、1700㍍・ダート)を制したソルティ(Salty)が8.00倍のオッズとなっています。
ケンタッキーオークスは現地5月5日(金)、ケンタッキーダービーは5月6日(土)に開催を予定しています。