メジャーリーグに集う超人達の年に1度の夢の球宴「MLBオールスター2016」が日本時間の13日サンディエゴのペトコパークで行われ、ア・リーグが4-2でナ・リーグを破り4連勝を果たしました。
現役最後の球宴となったデイビット・オルティーズ(レッドソックス)は4番指名打者で先発出場し、1打数無安打1四球でした。MVPには同点ソロホームランを放ち2安打2打点と勝利に貢献したエリック・ホズマー(ロイヤルズ)が輝いています。12日に行われた恒例のホームラン競争ではジャンカルロ・スタントン(マリーンズ)が計61本と過去の最多記録を20本も更新する圧倒ぶりで優勝を果たしました。
【MLBオールスター2016ダイジェスト】
これからメジャーリーガー達はつかの間の休養で英気を養い、そして再び世界最高峰の戦いへ身を投じます。ア・リーグ、ナ・リーグ並びにワールドシリーズの優勝オッズが業界最大手ブックメーカーの一つ「William Hill(ウィリアムヒル)」から発表されていますので、そのオッズを参考にMLB後半戦、及び2016年の世界一を決めるワールドシリーズの展望をご紹介したいと思います。
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アメリカンリーグ(ア・リーグ)
【MLB2016ア・リーグ優勝オッズ】
※オッズは14日午前9時現在
西地区首位を快走するテキサスレンジャーズがオッズ4.20倍でア・リーグ優勝候補最有力と目されています。続いて2番手は中地区首位のクリーブランドインディアンスが僅差の4.50倍、3番手は7.50倍で東地区首位のボルチモアオリオールズ、同地区2位のボストンレッドソックス、同地区3位のトロントブルージェイズの3球団が並んでいます。昨シーズンのワールドチャンピオンのカンザスシティロイヤルズは現在中地区3位と苦戦が影響し、7番手の17.00倍となっています。
2011年以来のア・リーグ制覇を狙うレンジャーズは打率がリーグ5位、防御率が7位と低調も、打点2位、セーブ数1位と勝負強さを発揮してリーグトップの54勝を挙げています。注目は今季日本のヤクルトスワローズから加入したトニー・バーネットです。メジャー1年目の今季はここまで35試合に登板して防御率2.43、6勝3敗と結果を残しています。故障者リスト入りしているダルビッシュ有も2Aでリハビリ登板を行うなど復帰に近づいており、ますます勢いを増して優勝に邁進することを期待できるでしょう。
中地区首位のインディアンスは10勝を挙げているダニー・サラザールや9勝のコリー・クルーバー、同じく9勝のジョシュ・トムリンといった強力な先発陣を擁しリーグ1位の防御率を誇るものの、近年課題の打線は今年も今のところ打率8位、打点6位と迫力に欠けたままの印象を受けます。マニー・ラミレスらを擁した90年代後半の黄金期以降長年遠ざかった念願のリーグ制覇に向けて打線の奮起が求められるでしょう。
東地区首位の座を守るオリオールズはクリス・デービスやマニー・マチャドらに加え今季マリナーズから加入したマーク・トランボが現在リーグ本塁打1位、打点3位と躍動し、リーグ随一の打線を形成しています。投手陣は昨シーズンチーム2位の11勝を挙げたチェン・ウェインが移籍してしまったものの、同11勝のクリス・ティルマンが今季すでにリーグ2位となる12勝を挙げ、またクローザーのザック・ブリトンはリーグ1位の26セーブを挙げるなど、打線に負けず劣らずの陣容であると言えます。1983年以来となるリーグ優勝も見えてくるのではないでしょうか。
上原浩治や田沢純一が所属し、東地区で2位につけるレッドソックスは打率、打点リーグともに1位と随一の破壊力を誇る打線が注目されます。その立役者はなんといっても“ビッグ・パピ”ことオルティーズ。既に今季いっぱいでの引退を表明している41歳はここまで打率、打点ともにリーグ2位とまさに最強打線をけん引する存在となっています。一方、シーズン前にブルージェイズから大エースのデイビット・プライス、そしてサンティアゴパドレスからは絶対的守護神のクレイグ・キンブレルを獲得し、大きく戦力を高めたはずの投手陣はここまで防御率、セーブ数ともにリーグ10位と大きく期待を裏切る形となりました。偉大なレジェンドの花道を飾ることができるかは、彼らの後半戦の出来にかかっていると言えます。
東地区3位のブルージェイズはその重量打線が魅力です。打点リーグ1位のエドウィン・エンカルナシオンやジョシュ・ドナルドソン、ホセ・バティスタ、トロイ・トゥロウィツキらタレント集団に加え、昨季マリナーズから加入するも9試合出場に留まったマイケル・ソーンダースがここまで82試合に出場し打率2割9分8厘、本塁打16とキャリアハイの成績を残し打線に厚みを加えています。絶対的エースだったプライスや15勝を挙げたバーリーを失った投手陣は苦戦が予想されたものの、パイレーツから加入したJ.A.ハップが12勝3敗、4年目のアーロン・サンチェスが9勝1敗と結果を残しており、チーム防御率もリーグ2位の3.76と穴は埋まった印象です。首位との差も4ゲームと少なく、逆転優勝は十分に狙える状況です。
岩隈久志や青木宣親を擁するマリナーズは現在首位から9.5ゲーム差の西地区3位でオッズは17.00の8番手、田中将大擁するニューヨークヤンキースは7.5ゲーム差の東地区4位でオッズは29.00の11番手と不本意な結果となっており、ともに後半戦の巻き返しが期待されます。
【ア・リーグ順位表(7月14日現在)】
※「スポーツナビ」より抜粋
ナショナルリーグ(ナ・リーグ)
【MLB2016ナ・リーグ優勝オッズ】
※オッズは14日午前9時現在
ブックメーカー「ウィリアムヒル」発表のナ・リーグ優勝オッズでは、川崎宗則の所属するシカゴカブスがオッズ2.70倍でナ・リーグ優勝争いのポールポジションにつけています。続いてサンフランシスコジャイアンツが3.25倍、ワシントンナショナルズが4.50倍となっています。オッズが一桁なのはこの3球団のみで、彼らの三つ巴の争いに対する大きな期待が伺えます。なお、前田健太所属のロサンゼルスドジャースは13.00倍の5番手、イチロー所属のマイアミマーリンズは21.00倍の7番手に位置しています。
中地区首位のカブスは投打のかみ合った完成度の高いチームです。クリス・ブライアント、アンソニー・リゾ、アディソン・ラッセルに加え今季オークランドアスレチックスから加入したベン・ゾブリストの野手4人がオールスターのスターティングメンバーに名を連ね、投手陣も12勝4敗のジェイク・アリエッタと9勝4敗のジョン・レスターの二枚看板を筆頭に充実の戦力を誇ります。昨シーズンリーグ優勝決定戦でニューヨークメッツに敗れて念願のリーグ優勝を逃した悔しさを晴らし、長年煩わされてきた“山羊の呪い”を今年こそ解くことができるでしょうか。ブルージェイズでムードメーカーとしてチームの躍進に貢献した川崎にも注目したいところです。
西地区首位のジャイアンツは、二刀流で名を馳せるマディソン・バムガーナーに加えてロイヤルズから加入したジョニー・クエト、シカゴホワイトソックスから加入したジェフ・サマージャが期待通りの活躍を果たし強力な先発陣を構成しています。チームの勝率6割3分3厘は全球団中ダントツのトップ(2位はカブスの6割2厘)であるなど、まさに盤石の体制であると言えるでしょう。2010年以降2年おきに世界一に輝いており、今年もそのジンクスを守る可能性は高いのではないでしょうか。
東地区首位のナショナルズの注目選手は今季メッツからチームに加わったダニエル・マーフィーです。一時はイチローとの比較論が登場するほどまでにヒットを量産し、3割4分8厘と打率首位を快走しています。打点も2位の66を記録しており、昨シーズンMVPのブライス・ハーパーと並んで打線の牽引役であると言えるでしょう。投手陣もマックス・シャーザーとスティーブン・ストラスバーグの二大巨頭を中心に勝利を積み重ねており、チーム史上初のリーグ優勝に向けて視界は良好です。
西地区2位のドジャースは故障者が多く、真価を発揮したとは言えない前半戦となりました。絶対的エースのクレイトン・カーショーまでもが故障者リスト入りしてしまい、まさに窮地に立たされています。オールスター休暇の間に体制を整え、後半戦に備えることができるかが肝となるでしょう。今季広島東洋カープから加わった前田にも獅子奮迅の働きが求められます。ここまで18試合に登板して8勝6敗とカーショーに次ぐ2番手の結果を残しており、後半戦の開幕投手にも名前があげられるなど、目覚ましい活躍をしています。この調子でぜひともMLBでの地位を確立してほしいところです。
MLB通算3000本安打まであと10本と迫るイチロー擁するマリーンズは現在東地区2位、最強と目される外野陣の活躍が浮上の鍵となります。好調を維持するイチロー、マルセル・オズーナ、クリスチャン・イエリッチに加えて、開幕から不振だった主砲スタントンのバットがついに快音を放ち始め、これからの活躍に期待が持てます。投手陣では今季オリオールズから加入したチェンがここまで5勝3敗といまいち期待に応えられてはいません。NPBでのプレー経験が長く日本でもなじみの深い彼が、過去4シーズンで46勝を挙げた実力を発揮できた時には首位ナショナルズを追撃する準備が整ったと言えるでしょう。
【ナ・リーグ順位表(7月14日現在)】
※「スポーツナビ」より抜粋
MLBワールドシリーズ
【MLBワールドシリーズ2016優勝オッズ】
※オッズは14日午前9時現在
スポーツブック「ウィリアムヒル」が発表しているワールドシリーズ優勝オッズで、優勝候補一番手にはカブスがオッズ4.33倍で推されています。2番手はジャイアンツで6.00倍、3番手はナショナルズで8.00倍、4番手はレンジャーズで8.50倍と続いています。メジャー在籍16年目ながらまだワールドチャンピオンリングを獲得できていないイチロー擁するマリーンズは41.00倍の21番手に位置しており、後半戦の巻き返しが期待されます。